14 嫁さんはお風呂に入る
「ふぅ……」
お風呂に入って一息つく。美星さんが用意してくれたので本当にどこまでも優しい人に感謝しつつも、さっきまでここを美星さんが使ってたと思うとドキドキしてしまう。
「俺って変態なのかなぁ……まあ、そもそもお風呂だって浴槽にお湯を張ってるの見たことなかったしなぁ」
「そうなんですか?」
「あ、でもシャワーはちゃんとしてましたよ。でも、大抵俺の番にはお湯が抜かれてるし、使うと殴られるので一人暮らしになっても無意識に避けてましたね」
……って、んん?俺は今誰と会話してたんだ?ギギギっと首を入口に向けるとそこにはバスタオルを巻いた色っぽい美星さんの姿が!?
「って、な、な、な……なんでここに……」
「えっと、本当はバスタオル無しにしようと思ったんですが……清隆さんびっくりするかと思って一応巻いてきました」
「い、いえ、そうではなくて……あの、俺なんかが美星さんの綺麗な体を見るなんて恐れ多いと言うか……」
目を逸らしてそう言うと美星さんはちょっと悲しげに言った。
「綺麗じゃありませんよ。私は貴方のお兄さんに身体を汚されてますから。お兄さんのお古で申し訳ないですが……」
「そ、そんなことありません!美星さんは綺麗です!」
思わず俺はこの状況を忘れて立ち上がって、驚く美星さんの手を握ると勢いよく言っていた。
「例え兄貴が美星さんに何をしたとしても、美星さんは綺麗です!どんなに貴女が自分を否定しようともその事実は変わりません!」
「で、でも……私は、清隆さんに初めてをあげられないんですよ?私は他の男に身体を許した不潔な女でーーー」
「違います!本当に汚いのはそれをする人です!それに例え兄貴が貴方と身体を重ねた事実があろうと、その結果琴音ちゃんが生まれたんです。だから恥じることは何もありません!俺は……俺は、美星さんの全部が好きですから」
「清隆さん……」
そう、美星さんを苦しめたのは兄貴とそれを止められなかった俺だ。だから彼女は汚れてなんていない。本当に汚いのは俺や兄貴のような人間のクズのことだ。
兄貴が美星さんに何をしたのか。俺には分からない。それを知っても俺は彼女に償えることはないし勝手に胸を痛めることしか出来ないが……それでも、俺は美星さんの全部が好きなのだ。だから例え兄貴が美星さんを抱いたとしても美星さんは綺麗だと断言できる。
そんな風に1人でエキサイトすると、美星さんは、何やら下を向いてから頬を染めて言った。
「あの……本当に嬉しいのですが、その……私もそんなに大きなのは初めてみるので、なんというか……素敵です……」
「え……あ!」
思わず浴槽に隠れる。しまった……エキサイトしすぎて自分の状態を完全に忘れていた。そういう経験があると言っても女性に俺なんかの汚い肌を見せるのは本当によろしくないだろう。
「あの……清隆さん。清隆さんは本当に私が初めてじゃなくても大丈夫ですか?」
「はい。だって、美星さんのこと大好きですから」
「ありがとうございます……では、お礼にお背中流しますね♪」
……俺の試練は始まったばかりのようだ。