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5.知っているらしい

「お待たせしました。お口に合うかどうか分かりませんが、どうぞお召し上がりください。」


「ひゃいっ。い、いただきます。」


考え事をしていて突然声をかけられた為、噛んでしまった。いや、さっきからずっとこんな調子である。

結局どういう風に切り出すか、何も決まっていない。


ここまで来てしまうと、なるようになると行き当たりばったりで会話するしか無いな。


やはり考えるのは面倒くさいし性に合わない。ナタリーさんの優しさに身を委ねてしまおう。


自分の中で適当に結論づけ、気を取り直してテーブルの上を見る。


テーブルにはジャガイモやニンジン、玉ねぎの様な野菜と肉を煮込んだものとバゲットだろうか、輪切りにしたフランスパンの様なものが並べられている。


とても良い匂いだ。食欲をそそる。


ただ、どうしてだろう。とても既視感がある。何だっただろうか。そうだ。この見た目は・・・


「奏多さん、アナタ、異世界人ですよね?」


「えっ・・・?」


何故バレているのだろうか。どうすればいい。一体何処でどうして・・・。

思考が追いつかず、呆けた顔をしていると、ナタリーさんから声をかけられた。


「ふふ、その反応、やっぱりそうなんですね。

私がどうしてそう思ったか、気になりますか?」


悪戯っぽい表情で、彼女が問いかけてくる。今までと比べて、幾分か砕けた印象を受ける。


「えっと・・・皆目見当もつかないです。」


相変わらず呆けた顔のままで、思った事を口に出す。


「知りたいですか?」


彼女の笑みは深くなる。ただそこに不快感はなく、親しみだけを増して。


「はい。凄く気になります。」


一体どうして彼女はその結論に至ったのだろうか。彼女と出会ってから今までの行動を思い出しても、予測することが出来ない。


「そうですねえ、それでは今、奏多さんの前に置かれている料理は何でしょうか?」


「料理?」


問われて目線を下に移す。

やはり既視感がある。これは・・・


「肉じゃが。」



「ふふふ、大正解です!

因みに肉じゃがは、この世界では多分、ここでしか味わえませんよ?」


「えっと、と言うことはナタリーさんも異世界人?と言うか日本人?」


「ぶっぶー!それは残念不正解です。

私は生まれてから今までの16年間、

1度も他の世界に行ったことはないですし、

もちろん日本にだって行ったことがありません。」


ナタリーさんが意味不明だ。

一体何を言っているのか分からない。

それならどうして異世界のことも、ましてや日本のことまで知っているのだろう。

異世界人とは、ありふれた存在なのだろうか。


「なら、何で知っとんですか?」


動揺で言葉遣いも乱れてしまった。だが、今はそれどころではない。



「そうですね、これ以上意地悪しても奏多さんに失礼ですし、答えをお教えしますね。


実は、私の祖父も異世界人なんです。

私の髪が黒いのは、祖父の遺伝です。


初めに奏多さんを見たとき、ビックリしました。この辺りで黒髪の方はあまり居ませんから。」



なるほど、だからナタリーさんは最初に俺を見たとき悲鳴を上げていたのか。

それならば仕方のない事だ。



「まあ、奏多さんの格好に驚いてちょっと引いちゃったと言うのも有るんですけど。内緒ですよ?」



そこでの笑顔は反則ではないだろうか。

全く内緒ではない上に、精神面にクリティカルを与えた上で極上のアメ。

良いヤ○ザになれる素質があるかもしれない。


「んー。何となく話が読めてきました。

僕の髪が黒くて、肉じゃがを知っていたからもしかしてお祖父さんと同じかもしれない。そう感じたと?」


「その通りです。でも正直、奏多さんがもっと怖そうで、悪意があると感じれば、

直ぐに騎士団に突き出すつもりでした。」


さらりと怖い事を仰る。もう少しで突き出されるところだったのか。

そんなことより、本当にあったのか騎士団。


「危ないわー、異世界半端ないわー。」


ぼそりと呟く。


「それです。それもなんです!」


どうやら聞こえていたらしい呟きに、興奮した様にナタリーさんが反応する。


「な、何がですか?」


「あのですね、奏多さんが時々使う変な訛り、お爺ちゃんと似てるんです!」


心なしか、ナタリーさんの言葉遣いも段々とくだけて来ている様な気がする。


「なるほど、訛りですか。ナタリーさんはお祖父さんの事が好きなんですか?」


「はい!自慢のお爺ちゃんです!」




今日見た中で1番素敵な笑顔と共に、彼女は答えてくれた。

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