2.モンスターに遭遇したらしい
何となくではあるが状況は把握した。
ここでただボーッとしていても状況は良くならないだろう。切り替えは大事だ。
そうと決まれば歩き出す。ここは草原と言うよりは高原だ。下っていけば町や村があるかもしれない。異世界とはいえ人ぐらいいるだろう。
そんな希望的観測をしながら高原を下って行く。
「おぉっ」
途中、とても既視感はあるが、前の世界では見たことがなかった物体に遭遇した。
30センチ位で水色の半透明なゼリー状の物体、口や鼻や目は無いがこれは多分あれだろう。スライムだろう。動いているし。知らんけど。
さて、どうしたものか。これでも小説や漫画やアニメは割と見てきた。異世界モノと言えば定番の雑魚モンスターだろう。
ただ、武器がない。拳で!と言いたいところではあるが物理攻撃自体効くのかどうか。
動きは緩慢で正直隙だらけではあるが、調子に乗ればすぐに死ぬ。それが異世界だ。
もしかすると、こんな見た目で実は毒があったり、パンチした瞬間にブワッと広がって全身を包み込まれてしまうかもしれない。そして窒息死。
ここはゲームとは違い死んでしまえば即ゲームオーバーだろう。
暫く考えたが、とりあえず今回はスルーした。
あまり無闇に狩りをして、生態系を崩してもいけない。そう結論づける。決して、ビビってはいない。
その後、30分ほど歩くと予想通り町があった。
先ほどのスライム発見後も何度かスライムを見たが、やはり生態系の保護のためスルーした。
決して、ビビってはいない。大事なことだ。
町の建物は全体的にレンガ造りであり、時折馬車が走っている。中世ヨーロッパの田舎と言った様相を呈している。
道を歩く人々は皆アジア系ではなく、やはりヨーロッパ系の顔立ちをしている。
「やばぁ、話通じんやんこれ」