おまけ・親友(男)が女だったという漫画によくある話
俺の部屋で、しかも俺のベッドで! 巨乳で俺の可愛い愛しい女が無防備に、目の前で寝ている。
リビングに居ないなー、もう自分のベッドに寝に行っちゃったかな?と思ったのに。
普通に、常識的に考えれば、これは間違いなく、OKよーのサイン。だろ?
光の話ってのは、さっきまで俺が鬱々考えてたようなことじゃなくて、こういう事だったのかな?!
うん、そうに違いない!!
そう、思いたい!!
でも、コイツと俺は十年以上親友だった。
普通に、常識的に考えれば、には当てはまらない関係のような気もする。
学生時代からずっと、俺に多大な信頼を寄せて、慕ってくれている。
・・・・・・
やっぱり、待ちくたびれて寝てしまっただけ?
でも、何度も言うけど、ココ俺のベッドだよ?
男の悲しい馬鹿な勘違いとは思いたくない!!
・・・・・・
とりあえず、せっかく寝てるのに起こすのは可哀想だし、ここは俺のベッドだから、俺がここで寝るのは当然の権利だと思う。
だから、結果として同衾することになってしまっても、俺は悪くないと思う。
それで、もし、俺が寝ぼけて抱きしめたり、胸を触ってしまったとしても、それは不可抗力というもので仕方がないものだ。
よし、俺は自分の権利でここに寝るぞ。
俺は光を起こさないように静かにベッドに入った。
俺は今日、夜は会社の人達と飲みに行くことになったから、メシも要らないし、遅くなるから先に寝てろって光にメールで伝えた。
そうしないと光は俺が帰るまでメシも食わずに待ってたりするからな。
それで、帰ってみると、珍しく一人で酒を飲んでテレビを見てた。
「おかえりー」
「一人酒とは珍しいな」
「まぁねー。海斗も飲む?」
「いや、俺はいい。結構飲まされちゃったからな。俺、風呂に入ってくるよ」
「あのさー、あとでちょっと話してもいい?」
「うん、いいけど、何?」
「あとで話す」
え? 何?
「え? 怖ぇーよ。今話せよ」
「・・・・・・」
え? え? 何? 光の話に酔いがいっぺんに醒めた。
コワイコワイコワイコワイ、何? なんの話? 怖いよ。俺なんかした?
この前の胸の谷間のセクシーショットを内緒で撮ったのがバレたとか?
でも、あれはゼッタイ俺に見せびらかしてたよな?!
それとも、アレか? ブラのサイズを勝手に見たのがバレたとか?
巨乳好きの俺としてはやっぱりチェックしたいじゃないか!
カギが付いてないんだから、フツーに、見るだろ!! そのくらい見逃してくれよ!!
「わかった。じゃあ、あとで」
俺は平常を装って、内心はビクビクしながら風呂へと向かった。
海斗がなんだかどんどんやつれていく。
私はお色気作戦を実行中だ。
私の憧れのデパートコンシェルジュである美里さんには、絶対に彼から告白をさせてからにしなさいって言われてる。
私から躯を差し出しちゃいけないって。安い女になってしまうわよって。
っていうか、私、女になりたての元男、いや戸籍上は未だに男だけど、そもそも高く売りつけられるような代物でもないんだけどなー。
でも、一度は私の方から告白しているし、海斗からは酔って言われた時だけで、しかも本人忘れちゃってるし、普通に好きだとも言われたことないから、私は海斗の本当の気持ちを知りたいだけ。
海斗が私の事を大切に思ってくれているのは疑いようがないし、手を出したいのに我慢してるのも分かってる。いい加減私ももう限界。
もう、なんで言ってくれないのかなー?
眠れない。当然だ。
ここで眠れたら、この一ヶ月のクリニックへの通院はなんだったのかということになる。
今日は酒を飲んだから、睡眠導入剤を飲むのをやめたが、飲むか?
いや、駄目だ。飲んだらせっかくの寝ぼけましたシチュが作れない。
真実の無意識下においてなら、なんのウマ味もない。
せっかくのこのチャンスを逃すわけにはいかない。
俺はそうっと光に腕をまわして、柔らかーく抱きしめてみた。
うん、大丈夫そうだ。
しばらく、ふんわりと抱きしめた光の匂いを嗅いだり、柔らかさを堪能。
着ている服が俺のトレーナーじゃなきゃ良かったのにな。
光はここに来てからずっと俺が貸してやったトレーナーで寝ている。
光が俺の服を着て寝るのは、これはこれで、俺のもののような気がして満足ではある。
ただ今は邪魔だ。
ちょっと唇をはむっとするくらいはいいかな?
はむはむしてみた。起きない。
ちょびっとなら舌を入れても大丈夫かな?
唇の隙間に舌を差し込んで舐めたけど、起きなかった。よしよし。
ほんのちょっとなら胸にスリスリしてもばれないかな?
ゴソゴソともぐり込んで、胸に顔を埋めようとしたら、上から声がかけられた。
「海斗?」
俺はギョッとして光から飛び退るように離れた。
心臓がドッキンドッキンしている。
どうしよう、どうしよう。
寝込みを襲うなんてサイテーだ。
「ごめん! 光! 俺、サイテーな事した。ごめん!」
俺は潔くベッドの上に正座して、頭を思いっきり下げた。
「でも、俺、もう我慢出来ないんだ。俺、光が好きだ。好きで好きで堪らないんだっ」
「だから、だから、1回でいいからさせてくれ。頼むっ」
頭をベッドのシーツに擦りつけるようにして潔く懇願した。
光が大きく息を吸い込み、はあ~ため息をついた。
こんなことを言うなんて、馬鹿な男だと思っただろうか。
「1回だけでいいの?」
え?
「いっぱいじゃなくてもいいの?」
え?
「いっぱいして、いいよ?」
えー!!!
「ほんとに? マジで?」
「ほんとに、マジで」
「じゃあさ、会社に行く時と帰ってきた時にキスしてもいい?」
「いいよ」
「じゃあさ、テレビ見てて、ふいにチューしたいなーと思った時にも、キスしていい?」
「いいよ」
「じゃあさ、光が料理してる時に後ろから抱きしめてもいい? 胸もちょっと触ったりとか?」
「いいよ」
・・・・・・
「これってさ、俺、親友から恋人に昇格って事?」
「海斗が恋人にしてくれるなら、私、すごく嬉しいよ?」
「する! する! 今日から光と俺は恋人な!!」
「じゃあさ、さっそくだけど、その、してもいいって事だよね?」
光が恥ずかしそうにコクンと頷いた。
俺が光を堪能してると、突然光が、ちょっと待ってと言う。
えー!? 嫌だよ? 俺、待たないよ、待ちたくないよ、ゼッタイやめないし! やめれないし!
「何? どうした? 何か嫌だったか?」
俺は優しく訊いた。
「あのさー、ほら、私ってずっと男だったでしょ? だから、その、私27だけどさー、初めてっていうか、どうやったらいいのかよくわかんなくて。私、あんまり期待されても困るっていうか、期待され過ぎて、思ったほどよくなかったとか思われたら、すごく悲しい」
「そんな事、全っ然、気にしなくていいよ。俺が全部教えるから! むしろその方が嬉しいし」
「うん。じゃあ、海斗に任せる。教えてくれたら、ちゃんとするから」
もう! 俺の恋人はなんてカワイイ事を!
「光、好きだ!」
当然1回で済むはずもなく。
初めてなのに、ごめん!って言ったら、光は優しくしてもらったから痛くないよって笑ってくれた。
光は本当に俺に甘いよな。甘やかすと俺、つけ上がっちゃうぞ!
なのに、光はさらに俺がつけ上がるような事を言った。
「私こそ、マグロでごめんね。でも、海斗がいけないんだよ。私を気持ちよくさせて、ふにゃふにゃに動けなくするんだもん。なんかほら、意識が上の方に行っちゃうっていうか、幽体離脱?したみたいだったよ」
え? 今、ナンテイッタノ? 初めてなのにそんなに気持ち良かったノ?
俺ももちろんスゴく良かったヨ。でも、そんな、幽体離脱しちゃうほど?!
もう!そんな愛しい事言うと、俺、図に乗ってもう一回しちゃうよ?