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おバカな攻略者達と真面目なヒロイン

王子殿下の侍従がみた、おバカな貴族たち

作者: 海影

前の話の別視点です。

会話文はありません。

レオン王子の侍従の日記のようなもの。

使い物にならない。

それがとある貴族の子息たちの評価でした。

私は、レオン王子殿下にお仕えさせていただいている侍従のリンクス、と申します。

レオン様は、どのように使えないのかをご確認なさることにされました。

使えないと言われてはおりますが、彼らの学業においての成績は、皆さま上位にございましたので。


……この学園には生徒会、と申しますものがございます。

レオン様はこちらで将来、国を治めるために必要なことを擬似的に体験することになっておりました。

生徒会は教師の指名制で、学業が優秀かつ、国家運営に関わる可能性の高いもの、つまり身分の高いものが選ばれることが慣例となっておりました。

レオン様は二学年から生徒会会長を務め、教師の方々にもその手腕を高く評価されて下ります。

そして、最高学年となられた今年、教師たちに指名されたのは、彼らだったのです。

生徒会運営のためにも、彼らの能力を知ることは必須、だったのです。


……結果から申し上げますと、……ほんっとにつかえませんでした。

あれを『頭のいいバカ』というのでしょう。

ひとつ例をあげますと、……そうですね、会計の話が分かりやすいでしょうか。

学園の行事ごとに予算を振り分ける、そのやり方はとんでもありませんでした。

最初は与えられた予算を、すべて均等に分けていました。

……行事によって必要な予算は変わってきます。そのふりわけも勉強のひとつなのですが……。

それを見たレオン様は、過去のデータを渡し、見本にするようにと申されたのです。

……その結果、過去と全く同じ金額を振り、予算が足りないと言い出したのです。

生徒数や状況によって当然予算は変わってきます。

それすらわからないとは……。

レオン様は、頭を抱えておられました。

前年の比率から予算を分けるように教えられても、端数が合わないから出来ないとなったところで、レオン様も彼らの使えなさを理解されました。

……確かに答えのある学業については優秀かもしれません。

ですが彼らは応用が全くと言ってよいほど利かない。

……使えなさすぎますねーー。


レオン様は、教師の方々にメンバーの変更を求めたのですが、一度決まった以上は、任期終了まで代えられないということで……。

さすがに、お一人ですべての仕事をなされるのは、無理だと認識されておられました。当然ですね。

そして白羽の矢がたったのは、養子に出された侯爵令嬢のリリィ様。

そして今年入学された弟君のウルフ様でした。

お二人のお陰で、無事に生徒会はまわっていました。


そして、いつの頃か、そこに一人の女性が加わることになりました。

それがローズ様です。

元々はリリィ様のご友人でしたが、リリィ様からお話を聞かれて、興味を持たれたレオン様に見初められることになりました。

ウルフ様と同い年とのことですが、大人びてしっかりとご自身の意思を持たれる方で、これでこの国の将来も安泰だと思わせてくださいました。

年下の少女に甘えられるレオン様を微笑ましく見守るのが、最近の私の日課でもあります。


……皆さまが生徒会にて仕事をなさって居られるあいだ、彼らがどうしていたかというと、レオン様方の従姉妹にあられるスイセン様の取り巻きと化して折りました。

成績が落ちておられないのはよろしいのですがあれは……。

ですが、レオンのとローズ様によると、それでいいのだと。

彼らえをスイセン様が統率してくださるのなら、あとは小さな領地にでも隔離してしまえばよい、とおっしゃられました。

私はそのための準備をすることになりました。

小さめでも収入はある程度ある領地。

そこにスイセン様を領主として、他の方々はその補佐役としました。

実際の運営は、こちらが手配したものたちが行えば、土地に住む方々にも迷惑はかからないでしょう。

幸いにして、スイセン様は浪費家ではございませんから。


そして数年後。

ローズ様の卒業とともに、レオン様とのご成婚が行われました。

お二人ともとてもお幸せそうで、それを特等席で見ることを許されたことの幸運を噛み締めたのでした。

「おめでとうございます、レオン様、ローズ様」

「ありがとう、リンクス。次はお前の番だな」

「え?」

というやり取りがあったとか、なかったとか。

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