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ファンタジーにおける民衆の醜さ

作者: 秋乃麒麟

ゲームをやっていて、一般のモブに腹を立てたことはありませんか?

主人公勢をやたらと非難し追い出そうとする村人。イベントとしてそれなりに見ることがあるのではないでしょうか。ゲームに限ったことではないですが、その作品の世界観に入りこみ、主人公勢に感情移入をしていると、こういった一般大衆の仕打ちに苛立たされることがあります。てめーら力も持っていないくせに何様のつもりだと。ですが、逆にそういったモブの立場で考えると、その仕打ちを許せるわけではありませんが、何故そういった行動に出るのかが何となくわかる気がします。


私が考察するには、彼らが「弱い」からというのが原因だと思うのです。メインキャラクターともなれば、何かしらの「力」を持っています。戦うための力は勿論、人を惹きつけるような魅力もそうだと言えます。権力や経済力なども含まれるのではないでしょうか。しかし、一般大衆はそんなものは持っていません。その世界全体で見ても、「力」を持っている人は一握りと言っても過言ではないでしょう。

例えば、とある村に魔女が済んでいたとします。その魔女が何の悪意を持っておらず、むしろ魔術で村人のためになるようなことをしようとしていたとしても、何の力も持たない村人にとっては、それは得体の知れない力なわけでして。もしかしたら、魔術という得体の知れない力で自分達の環境が激変されるかもしれない……そう考えてしまうことは、決して不自然なことではないのです。

もうひとつ例を挙げましょう。戦乱によって被害を受けた貧しい村を、その国の貴族が訪れたとします。その貴族は慰問のために訪れたのですが、村人はその者に良い感情を持ちません。何故か。その貴族が普段から善行をしていたとしても、他の多数の貴族が私利私欲のために悪行にも手を染めていたら、村人に間には貴族=悪のイメージが植え付けられてしまうのです。また、基本的に権力者である貴族は自分達とは異なる世界の住人であるというのも事実で、それが良い感情を持たない要因となっているのではと考えられます。



統計できるほどの作品を見ていないので何とも言えないのですが、こういったモブは大都市よりも辺境の村に見られるのではないかということです。理由は単純なもので、大都市にもなれば多くの人間が集まるためにそれだけの交流がありますが、辺境の村ともなればそういった交流は殆んどありません。また、閉鎖的なコミュニティの中で生活しているため、その中での規格というものが長い年月を経て築かれてきています。それによって、自分達が平穏な生活を過ごせているのです。だからこそ、その規格を守らない者や外れている者を排除しようとします。傍から見ればただの差別や迫害のように見えますが、彼らからしたら自分達を守るためにやっているんですよね。

「力」が無いからこそ、このような行動に出ると書きましたが、まったく「力」が無いわけではないのです。こういったモブは、勿論初めは「力」がありませが、同じ考えの者が集まり始めたところで「力」になります。数という「力」です。戦闘力で勝てない。権力や経済力でも敵わない。では、どうやって立ち向かうというところで行きつくわけですね。勿論、これを一概に悪いことだとは言えません。悪い貴族に対して民衆が蜂起するというパターンもあります。問題なのはこの「力」が自分達よりも弱い存在に向けられた時です。異質な存在だと恐れて「力」を向けた存在が、何の害もない存在であったらどうでしょうか。自分達の弱さが「力」となって、より弱い者を虐げているということになります。この弱さは、物理的な弱さは勿論、現実を受け入れることのできない精神的な弱さも指しているのではないでしょうか。



一部が現実世界にも通ずるものがあるのではと思っています。自分達とは違う異質な者は徹底的に排除しようとする……テレビのニュースなどで具体的な事例を目にすることは多いのではないでしょうか。人生経験が浅く、たいした知識も持っていない私が政治や宗教、差別問題、その他エネルギー問題に関するようなことを語るわけにはいかないので、現実における具体例は敢えて挙げません。勿論、色々と疑問に思うことはあるんですけどね。


自分でも何を書いているのか解らなくなったのでこの辺りで。

少し前にブログに書いたもの


このモブキャラの醜さって、ファンタジー以外でも結構あると思うんですよね。でも、胸糞悪い展開でも、こういう嫌なモブの存在があるからこそお話が面白くなるのだと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ついこの間、日本でも小さな村で凄惨な殺人事件がありましたが……やはり村社会特有の空気みたいなものがあるのでしょうね。ファンタジー世界の村社会をきちんと考察されていて面白かったです。同時に、…
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