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幼き日々


中学二年生までの間、ライトの存在は、私たちの未来を、明るく照らしてくれた。


けど、

彼もまた、死んだわ。

その夏、馬場から抜け出したライトは、転落して、岩に落ち、骨折した。

骨折したライトは、銃殺するしかなかったわ。

もちろん、ライト自身の幸せのために。


でも、そんなことが、中学生にわかると思う?

理解はできても、判らないわよ。



その頃から、私たちは、互いにどことなく、距離をとるように、なっていったの。

同じ幼稚園、同じ小学校、中学校に通ったけど、

高校受験で、源氏の君は、男子校を、私は女子高を受験した。

無事、合格したわ。


でも、やっぱり、大きくは、離れられないのね。

私、彼を見失うのが怖かった。

たぶん、源氏の君も。

受かった高校は、姉妹校みたいなもんだったわ。

同じ市内で、仲が良い高校同士、交流も盛んだったの。

高校に行く電車ですらも、私たちは一緒だった。


10


源氏の君は、文芸部に入っていて、私は軽音楽部に入った。

源氏の君が、

「かなちゃん、僕の小説読んでよ!」

って言うので、私は、彼の小説や詩は、欠かさず目を通していたわ。

村上春樹風のファンタジー。

文章が繊細で、ロマンティックで、素敵だったわ。

しかも、源氏の君の小説や詩は、タイプじゃなくて、手書きなのよ。

「そのほうが、落ち着くんだよね」

って、言っていたわ。

彼は、すごく字が上手だったから、余計素敵だったわ。

彼のペンネームは、「光源氏」。


もしも、私じゃなくて、源氏の君がこの小説を書いていたら、

もっと魅力的だったでしょうね。


源氏の君は、私の軽音の演奏を聴きに来てくれた。

私は、ドラムの担当だったわ。

男勝りに、思いっきりドラムを叩いて、女子高時代は、女の子によくモテたわ。


11


実は、源氏の君は、私の初めての男なの。


まだ、小学校五年生だったわ。

私、まだ生理も始まってなかったのよ?


ある日、私たち五年生は、体育館に集められて、性教育を受けたの。

でね、一緒に家に帰りながら、源氏の君が言うことには、

「ね、やってみない?セックスってやつ」

ですって。

馬鹿ね。ほんと、馬鹿!

先生の話を、一体どう聞いてたのよ!


12


私の家の両親は、共働きだったから、昼間は誰もいないのよ。

で、私の部屋で、やってみたの。

セックスってやつ。

もちろん、源氏の君だって、初めてだったわ。


でも、ぞくっとしたわ。

彼が、初めて首筋にキスしてくれたとき。

全身を稲妻が走るように、感じちゃって。

あの、甘やかな、魅惑的な体臭・・・。

いっくら、頭では、源氏の君は女ったらしだって、わかっていても、

惚れないわけにいかなかったわ。

どこで覚えたのか、彼は、愛撫でさえ、とても上手だったわ。

こういうのを、天性の才能というのね。

無駄な才能だわ。


13


とにかく、私ったら、すっかり、彼の色香に酔っちゃって。

でも、まあ、いざ、というときに、ひどい激痛が走ったのは確かね。

「い、痛った!!なにするのよ!この馬鹿男!そんなに激しく動かないでよ!」

私、枕で、裕の頭をなぐったわ。

「ごめんね、ごめんね!かなちゃん」

って、源氏の君は言ったけど、さすがにチェリーボーイね。

「う、うわあ!気持ちいい・・・!かなちゃん、僕・・・!」

って叫んで、あっという間に果てたわ。


14


私は、血のついたシーツを、急いで洗ったの。

源氏の君は、私を愛していたわけでもなんでもなかったわ。

ただ、セックスがしてみたかっただけよ。

なんだか、ことが終わった後、むなしくてね。

いま、私は、大学二年生だけど、それ以来、男のひとに抱かれたことはないわ。


15


でも、だからこそ、あんなにフェロモンまき散らしてる裕に惚れずに、

男女の友情を、保って来れたのだとも、言えるわね。

一度は一線を越えなければ、性別を超えた友情は生まれない。

少なくとも、私はそう思ってるわ。


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