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殺し屋

作者: 紅桑

殺しです。殺しがダメな人は、読まないことをオススメします。

『あなたには、殺してほしい人はいますか?』




「なぁ玖乃、≪殺し屋≫って知ってるか?」

俺の名は、梨本玖乃ナシモト クナイ。今は学校の昼休憩中。

「なんだそれ。怖い話してんじゃねぇよ。」

友達の服根珀也フクネ ハクヤが、変な話をしてきた。

「ホントにいるって話だぜ?あった奴いるみてぇだし・・・。」

「どんな人なんだよ。その≪殺し屋≫って。」

「いつも黒い服をまとっていて、髪の毛も黒で、腰のあたりまであるらしい。」

「ふ~ん。」

「その人はな、誰でも殺してくれるらしい。」

「ふ~ん。」

「それでな!けっこう胸が大きいらしいぜ!」

「お前は、話してる途中にそっちの話題に走るな。」

珀也はエロかったりする。まぁ、そんなことはどうでもいい。

俺は珀也に聞いてみた。

「なぁ、珀也。≪殺し屋≫にはどうやって会えるんだよ。」

「あぁ?玖乃、お前≪殺し屋≫に会いてぇの?」

「いやぁ。ちょっと気になって。」

「まぁいいや。じゃぁ、教えるわ。


 晴れている日の午後三時に

 『Coffee KAEDE』っていうカフェに行く。

 そのカフェの一番隅で本を読んでいる女に

 「GOOD KILL」って呟く。

 そうしたら、日程・時刻・場所を書かれた紙を渡される。

 その日、その時間、その場所に行ったら、その女がいて

 『あなたには、殺してほしい人はいますか?』って聞かれる。


 んだとさ。ここから先は・・・俺知らねぇから・・・。」

「おい、珀也。続き知ってんだろ?教えろよ。」

「うっ!やっぱバレた?ぅ~ん、しょうがねぇな。


 『あなたには、殺してほしい人はいますか?』って聞かれて

 「います。」って答えたら、いろんなことを話す。

 依頼主(自分)の事、殺してほしい人の事、なぜ殺してほしいかなど・・・。

 それから、全部の話が終わったら、その女が

 『わかりました。殺してあげましょう』と言う。

 それで、その女はちゃんと実行してくれる。

 

 俺が知ってる話はそこまでだ。」

「代金は何なんだ?」

「それが・・・噂なんだがな。」

「うん。」

「依頼主の身体の一部らしいんだ。」

「えっ?」

「手だったり、足だったり、中には目を持ってかれる奴もいるらしいぜ。」

「ふ~ん。」

「玖乃。誰か殺したい人でもいるの?」

「え、何で?」

「いや。だって、会いたいんだろ?」

「違うって。俺、こういう話好きだから―――」

「何の話してんの?」

横から色浪羽柚太イロナミ ハユタが話に突っ込んできた。

「いや・・・別に。」

「えぇ~。教えてくれてもいいじゃんかぁ。」

「だから、何でもないって―――」

キーンコーンカーンコーン

昼休憩が終わるチャイムが鳴った。

俺と珀也も、羽柚太を押しのけ自分の教室に戻った。



[玖乃。誰か殺したい人でもいるの?]

[違うって。俺、こういう話好きだから]

本当は嘘だ。殺したい人はいる。

俺が殺したい人は・・・


色浪羽柚太だ。


アイツは何かとウザい。

先程のように、人の話に横から首を突っ込んでくる。

それに、男なのに女のようだ。


「えぇ~。何ソレぇ~。」

「いいじゃん、いいじゃん。ね!」


男は男のようにいればいい。

羽柚太のウザイところはまだまだ沢山ある。

殺してやりたい・・・。

あっ。そうだ。さっきの珀也の話・・・。


[なぁ玖乃、≪殺し屋≫って知ってるか?]


≪殺し屋≫・・・誰でも殺してくれる。


晴れてる日の午後三時に、『Coffee KAEDE』というカフェに行く。


今日は晴れている。そして今日は先生達が研修のため、もう帰れる。

立ち寄ってみるか・・・。



「ここか・・・。」

住宅地の中にまぎれている、『Coffee KAEDE』

普通の民家で出来ている。

俺は早速入ってみることにした。


チリーン


「いらっしゃい。」

カウンターの向こうの男性が言った。

きっと、ここの店主だろう。

客は・・・

カウンターに俺と同年齢くらいの男が二人。

そして・・・

珀也の言っていた女が座って読書をしていた。

俺はその女に呟いた。

「GOOD KILL」

そうしたら、女は何かのメモ書きのような紙を渡してきた。それには


 今度の土曜日の午後一時、この場所に。


と書いてあった。




~SATURDAY~

今の時刻は午後一時。

「ちょうどいい時刻だな。」

俺は『Coffee KAEDE』に入った。


チリーン


「いらっしゃい。」

また、カウンターの奥の男性が言った。

客は、この間来店した時と同じ人達。

俺は女に近寄った。

すると女は立ち上がって、

「ついて来てください。」

と言って、カウンター横の扉から2階に上がって行ってしまった。

俺は急いでついて行った。



2階は普通の家のリビングだった。

「そこに座ってください。」

俺は女に言われたところに座った。

女は俺の向かい側に座っている。

「あなたには、殺してほしい人はいますか?」

女が俺に聞いてきた。

いきなりだったので、俺はぽかーんとしていた。

そうしたら女が

「いないのですか?」

と聞いてきたので、俺はあわてて

「います。」

と答えた。女は安心したような顔で言った。

「私は、楓紅葉カエデ モミジと言います。あなたのお名前は?」

「俺は梨本玖乃です。」

紅葉は俺にいろんな質問をしてきた。

珀也から聞いていた話とは、少し異なっていたがほとんどが同じであった。

質問が終わると、

「わかりました。殺してあげましょう。

 任務完了したら、あなたに連絡しますので連絡先を教えてください。」

俺は勇気を出して聞いてみた。

「あの、代金は何なんでしょうか?」

「それは、私達が任務完了したら、頂きます。」

と紅葉は答えた。




~IN SEVERAL DAYS~

学校に登校したら、珀也が駆け寄ってきた。

「玖乃!」

「っん。どした、珀也。」

「羽柚太が今日の朝、交通事故にあって死んだ!」

「えっ!珀也、それ本当か!?」

「おぅ。今、校長と教頭が近くにいた人達に、状況を聞いたりしてる。」

紅葉・・・いや≪殺し屋≫。本当に実行したんだ・・・。

けど、実行したのなら携帯がなってもおかしくない・・・。


リリリリリリリッ


着信音が教室に響いた。俺の携帯だ。

相手は・・・楓紅葉だ。

「もしもしっ。」

俺は教室を飛び出し、屋上へ向かった。

「もしもし。楓紅葉です。任務完了いたしました。」

「あっ・・・ありがとう、ございます!」

勢いよく、屋上に来たので、息が切れている。

「それで、代金を頂きたいので、今から『Coffee KAEDE』に来ていただけませんか?」

「今は、もう無理です。学校が始まってしまうので・・・。」

「では、学校が終わったら来てください。待っています。何も持たずに来てくださいね。」

「あっ・・・は―――」


ツーッ ツーッ ツーッ


俺が返事をする前に、電話は切れた。

放課後に、またあの『Coffee KAEDE』に行く。

そこで代金をわたす。

何も持たずにということは、やはりお金ではないのか・・・。



~AFTER SCHOOL~

俺は、荷物を家に置きに行き、それから『Coffee KAEDE』へ向かった。

俺は入り口の前で止まり、入るのをためらってしまった。


 やはり手や足をとられてしまうのか・・・。

 お金では、ダメなのか・・・。

 しかし、人を殺すという大きな仕事をしてもらったのだ。

 それ相応の代金を、払わなければ・・・。


俺は覚悟を決めてドアを開けた。


チリーン


いつもと同じ鈴の音。


「いらっしゃい。」


いつもと同じ男性の声。


唯一違うのが、俺と同年齢くらいの男性二人がいないだけ・・・。

俺が立ち止まっていると、紅葉が目の前に現れた。

「ついて来てください。」


いつもと同じ楓紅葉の声。


ここの風景が、不安のせいか《いつもと同じ》と確かめたくなる・・・。

俺は不安ながらも、紅葉について行った。



紅葉は『Coffee KAEDE』を出て、徒歩で10分程でつく森の中に入っていった。

森の中には、木造の小屋があった。

紅葉は、その小屋の中に入ろうとした。

俺も紅葉のあとに続いた。

紅葉がドアを開けた。


ギギギギーーッ


ドアは嫌な音を立てた。

中には先ほど、『Coffee KAEDE』にいなかった男性二人と、

手術をするような道具があった。

「今から代金をいただきます。そこのベッドに寝てください。」

ベッド・・・というよりは手術台だった。

俺は手術台に寝た・・・。

と同時に、男性二人に手首をおさえつけられた。

「・・・!!」

「今回の依頼の代金は、あなたの手の爪すべてです。」

いつの間にか白衣に着替えている、紅葉が言った。

そして紅葉は、爪を一枚ずつはがそうとしていく。

「うぁっ・・・うわぁぁぁーーー!!!」



気がつくと、俺は自宅のベッドに寝ていた。

「今まで俺は・・・夢を見ていたのか?―――痛っ!」

手に痛みが走った。手を見ると、指に包帯が巻かれていた。

「夢じゃ・・・なかったんだ・・・。」

 学校に行ったら、色浪羽柚太の机の上には、花が飾られてあった。


俺の嫌な奴がいなくなったのに、俺は嬉しくなかった。

報告を受けたときは嬉しかった。なのに、今になって罪悪感が芽生え始めた。




~SUMMER~

学校の帰り道、俺は信号を確認したはずだった。しかし・・・


キキッーーー___ドンッ


俺は赤信号で横断歩道を渡り、車に引かれた。


神様が俺に罰を与えたんだ。

羽柚太を殺した罰―――


意識が遠のいていく中、俺の視界に一人の女性が飛び込んできた。

夏にもかかわらず、黒い服で身をまとっている髪の長い女性・・・。

≪殺し屋≫の楓紅葉だ。

こいつは、こんなところで何をしているんだ。

まさか依頼されて俺を車に引かしたんじゃ―――。


死ぬ間際、聞こえた言葉があった。

「任務完了。」

最初、玖乃が珀也に話を聞いている頃は、春です。


。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

梨本玖乃  高校二年

服根珀也  高校二年

色浪羽柚太 高校二年


楓紅葉   ??歳

隆花蒼タカバナ アオ 17歳

隆花銅タカバナ アカ 17歳

マスター  60代

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章の構成がわかりやすくて良いと思いました! あと、キャラクターの名前がかっこいいなと感じました…! [気になる点] 特に見つかりませぬ…! [一言] とても楽しく読ませて頂きました! 私…
2016/04/10 09:36 退会済み
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