チワポメトイプー
小麦 君は
歩いてくるカップルの
サラリーマンじみたほうが
血走った眼の少年に
鋭い切っ先で 激突されたことに気づいたか
君があんまりにも
春の枝をかぐような 少女だから
心配になるのだ
彼を見放さないでね
大事にしてね
よくよく見とくんだよ
2025/4/1 8:17『小麦の夢』
目が覚めて、八時
眼は下がる
抗えず
目が覚めて、八時十五分
たった十五分の間に
わたしは五十億年の
長い長いピクニック
草原の中にいた
生きている時間より、夢の中の時間のほうが
身に沁みて広大で 清々しいまでに
透き通っているのか
2025/4/1 8:21
神よ
この苦しい試練には
意味があるのか
人一倍
厳しく 悲しく 難しい人生で
神よ
ああ わたしは
わたしはこんなにも、
苦しまねばならぬ 傷つかねばならぬ
なぜだ?
神よ……
いつか
試練を 誰も、手助けさえできぬ
おれだけの試練を のりこえ
神よ わたしに
このような試練を与え給うて
ありがとう と
言ってやる 言ってやるぞ
神よ!
2025/3/24 2:31
公園の すみっこに セミのぬけがら おちてた
ぬけがらと おもったら なかみが 入ってた
かわいそうに このコは フライングした セミ
あったかいと カンチガイして 地上に はいあがった
そしたら なかまは いなくって
まだまだ お外も さむくって
ひとりぼっちで さみしくって
だから セミさん かわいそうに
いっしょう どうてい
2022 4月上旬『フライング・シケイダ』
わたしって くさいのかな
歩く道 避けられる
わたしって みにくいのかな
話を 無視される
わたしって きらわれてるのかな
話しかけてみなよって 絶交の 材料
告ってみろって 罰ゲームの 対象
ジイシキカジョウかな
ヒガイシャモウソウかな
でもわたしだって
人間のつもりだから
ちょっとくらい 傷ついたふりをしたって
罪じゃないよね
罪じゃないかな
2022/4/20 8:44『苦笑』
わたしに与えられるのは苦痛だけ。
どれほどの努力を重ねても、
あらゆる疲労に耐え忍んでも、
それらが認められることはない。
目に見える成果をあげても、
その数字はやがて「平均」に変化して、
報酬を得られることはない。
少しでも悪い箇所は、見直し、改修する。
出来ないところは、出来るまでやる。
その延々と続く作業に、けれど終わりはなくて。
2022/4/20 15:32『それは労働ではない、犠牲だ』
自分の命が勝手に歩いている
目も届かぬこんなところで
名もまだ知らぬ土地を
自分の命が勝手に座っている
君とわれのいのちは一緒
そのいのち捨つものならば
われもたちまち消えようぞ
自分の命が勝手に泳いでいる
われは君を最初に愛した
ゆえに君の赤きこころは
すべてわれと君のもの
自分が勝手に笑っている
その笑顔とともに
祝福してくれるのなら
われの思いは変えじ
ああ、ああ、こんなにも
君以外の世界が
こんなにも、まぶしいだなんて
おぎゃあ
2022/10/19 14:14『自分の命が勝手に歩いている』
たこやきの湯気に恋をした
つま先がくさりにつながれることに
文句もいわず
君がきみを
取りかこんでいる世界を
ほんのかすかに揺らめかす
その情熱を知ったとき
たこやきの湯気に恋をした
ホットミルクでも春の雪でも
君のように白くは泳げない
リンとしたたたずまいの中に
ときおり無邪気がまじって
かつおぶし畑の上で
裸足でおどっている
たこやきの湯気に恋をした
君のその頬をぼくが
つん、ともてあそぶと
ふい、と君は向こうへいってしまった
けれどいつかまた戻ってきて、
ぼくの好きな匂い
おくってくれたね
たこやきの湯気に恋をした
たこやきの湯気に恋をして、
それでもいつか別れゆく
君はぼくから離れゆく
くさりのほどけた君は
見えなくなるほどに
きれいなとうめいになっていた。
最後に君が残したもの
サプライズのルビー色
ぼくの今日のいのち
最後にぼくからとび出た言葉
「ごちそうさまでした」
ああ……
ミートボールの湯気に恋をした
2022/10/19 14:14『たこやきの湯気に恋をした』
手のひらを空へと伸ばして
死にたくない 死にたくないと
血に塗れ 呟く
あなたの中のあの人と
同じことをしよう
嘘をつくのは、優しさだけじゃないでしょ?
生きていけるでしょ?
大切に思ってほしかった
なんて
子どもでいられなかった
なんて
気づいたら大人になってた
なんて
死んでるみたいだ
なんて
2025 5月末『工廠』




