二人乗り
今日も助けが必要な者が私達を待っている筈だ。
「ソリを引いて行くぞ」
「はい、お姉様」
子供達も楽しそうに遊んでいる山の奥深くに行き大人達が遊んでいる場所に着く。
「やってるな」
「やってるね」
山を登り位置に着く。
「まずは私がソリに乗るぞ、お前は私の股の間に座れ」
「はい、お姉様」
「よし、滑るからしっかり掴まれよ」
しゅごー!
「楽しいな、もう一度だ」
「はい、お姉様」
また山を登る。
「よし、滑るぞ」
「お姉様、今度は私の股の間に座って」
「そうか、私も股の間に座ってみたかった」
しゅごー!
しまった!ここは雪山がある道だった。
しゅごー!
「もっと、速く滑るね」
しゅごごごごごー!
「そうだ!もっと速くだ」
しゅごごごごごー!
「飛ぶぞ」
「はい、お姉様」
しゅごごごごごばー!
「おい、ソリが無いぞ!ソリじゃなくて私を掴んでどうするんだ」
「お姉様、このままでは頭から雪山に落ちるよ」
「雪山に串刺しなるのも一興だが安心しろ」
「エアドライブ」
「お姉様、着地を決めましょう」
どん!がちゃん!
がちゃん?私は薄目を開ける。
部屋中がめちゃくちゃだ。
私の大事な湯呑み茶碗が割れている。
許せん!誰がこんな事を。
夢を見ていた気がするが思い出せん、取り敢えず部屋を片付けて湯呑み茶碗を買いに行かなければ。
「店主!これは一体どういう事なのだ!」
「最近お菓子を食べる人が増えて紅茶やお茶の器が飛ぶ様に売れて品切れなんです」
「私の湯呑み茶碗も机から飛んでしまったぞ!」
私は店を出て他の店も探したが何処も品切れだった。
「おお?珍しい奴が来たな」
「湯呑み茶碗が飛んでしまったので新しく作って欲しくてな」
「こっちも世話になってるからな、そのくらい直ぐ作ってやる」
木が浮かび上がると一瞬にして湯呑み茶碗が出来た。
「何だこれは?魔法の様だったが?」
「ああ、俺の錬金魔法だ」
「何だと!伝説の錬金魔法だと!」
私は木で出来た湯呑み茶碗を持つとその作りに驚かされた。
「おい、こんな紙の様に薄い器だと直ぐに壊れてしまうぞ」
「大事に使ってくれよ」
私は礼を言ってこの場を後にした。
「お姉様、遊びに来たの?」
「ああ、新しく湯呑み茶碗を作って貰ってな」
「じゃあ、お菓子にするね」
「気が利くな、私はお茶を淹れよう」
湯呑み茶碗にお茶を注ぐと器がお茶色に染った。
やはりかなり薄い。
持てないくらい熱くなっているかもしれない。
私は慎重に器に触るが熱さは感じない。
一口飲んでみると口当たりに驚いた。
飲み口が丸くなっていて厚さも少しあり、それでいて器が無いような錯覚に陥る素晴らしい逸品だ。
気を良くした私は話に夢中になり、湯呑み茶碗を手に引っ掛けて机の上から飛ばしてしまったのだった。




