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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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鼻歌

僕達は大量のさつま芋をソリに載せて工房に向かった。


「小さい炉と鉄網作って!」


「なんだ、おちび達?芋でも焼くのか?」


「はい!」


お父さんは錬金魔法であっという間に作ってくれた。


「デコ、本当にこれで美味しい芋が焼けるのか?」


「これさえあれば肉でも野菜でも芋でも美味しく焼けるよ」


「楽しみね」


僕が一番楽しみだよ、あの味を知ってるのだから。


お父さんにさつま芋を分けてあげて僕達は家に帰って来た。


「ふんふんふーん」


「鼻歌まで歌っちゃって」


「そうなるよな」


家に帰る途中で食料を買い込んで肉を焼くんだから。


僕達は準備を終え後は小さい炉に炭を入れて火を付けるだけだ。


「炭が無い!」


やってしまった、浮かれ過ぎて炭を買うのを忘れてしまった。


今から買いに行く?それとも…


薪に火を付けて入れてみた。


「デコ、煙が凄いぞ」


家の中は煙に包まれていた。

僕は慌てて小さい炉を庭に持って行った。


「ごめん、僕が炭を忘れたばっかりに」


「肉と野菜は厨房で焼いて食べようぜ」


「このさつま芋は炉の中に入れましょ」


ランは焦げないように炉の中の薪を外側に寄せて真ん中にさつま芋を入れた。


僕達は肉と野菜を食べ終えてさつま芋の様子を見に行った。


「焼けたかな?」


ランは木の串でさつま芋を突き刺すと焼けたわよと合図があった。


「あっつい!」


僕は美味しそうに焼けたさつま芋を手に取るとぶん投げてしまった。


「手で持ったら火傷するわよ」


「ごめん」


あははと苦笑いして芋を取りに行くと、さつま芋の前にチョコを乗せた一隻のソリが止まる。


さつま芋を拾うとソリは家の裏庭に消えて行った。


院長先生が編んでくれた手袋をはめていたのを見て僕も手袋を取りに行き、さつま芋を両手に取り力を込める。


「ふん!」


二つに割ると甘い匂いと黄色いさつま芋が現れるとふーふーして噛りついた。


「うまい!」


寒さのせいだろうか、とても美味しく感じた。


冷めたさつま芋を持って家に入り机の上に皿を置き、半分に割ったさつま芋を載せる。


「鮭ノ介!」


鮭ノ介は泳いでさつま芋を食べに来た。


ぱくぱくしている鮭ノ介を見ると僕も嬉しくなる。


「鮭ノ介、明日は水槽の水を替えるからね」


水槽の中に餌をあげなくなったので綺麗だが、きちんと水を交換して水槽も掃除してあげたい。




次の日、ソリに水槽を乗せて鮭ノ介と一緒に精霊の湖まで向かう。


魔物も居ないという話だったので安心して水を汲みに行ける。


湖に着くと水槽を掃除している間は湖に戻して遊ばせておき、終わると鮭ノ介を呼んで一緒に家まで帰った。


「また来ようね」


鮭ノ介は久し振りの里帰りで喜んでいた。

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