炭
まずは枝を切る事から始める。
きーん!
「なんてこった」
きーん!
アスレチックパークで聞こえる音と同じだね、最近は音がしなくなったけどね。
「ちび、なんで切れないんだ?傷一つ付かないぞ」
「おじさんはいつも切ってます」
「切る道具がある筈だ」
「おじさんは剣で切ってます」
「剣で木を切る奴なんていねぇ」
そんな事言われても、次は木を焼いて炭を作る。
枝を切れなかったのでそのまま窯の中に入れて火を付ける。
「おかしい、煙が上がらねぇ」
確かめると火が消えていた。
「嘘だろ!燃えた形跡がない」
それでも炭職人は諦めてないみたいだ。
「ちび、出掛けるぞ!」
「はい」
炭職人は枝を僕のソリに載せて歩いて行く。
「おい!出てこい、お前のつけをちゃらにしてやる」
すると家の中から筋肉もりもりの漢が現れた。
「本当か?」
「ああ、但しこの丸太を切ったらな」
漢は家に戻り斧を手にして現れ、こっちも準備は出来ている。
漢は服を脱ぎ捨てると筋肉をぴくぴくさせている。
加護の恩恵なのか?何かの儀式なのか?
斧を両手で持ち振り被ると雄叫びと共に振り下ろす。
「ぬぉー」
きーん!
僕と炭職人は次の戦いの場にソリを引いた。
次も、その次も、そのまた次も。
きーん!きーん!きーん!
「これが本当に最後の闘いだ」
「はい」
ソリが止まる。
「ここは俺が修行した場所だ、入るぞ」
「ここは!」
建物に入る。
「あれ?久し振りですね、どうしたんですか?」
「若先生、ご無沙汰しています、この丸太を切り捨てて欲しくて伺いました」
「これを?」
「はい」
「丁度よかった、これも切って貰えますか」
そう言うと隣にいた無気力そうな人が剣を抜こうとした。
「終わりました」
炭職人は丸太を見つめていた。
若先生、弟子にはまだ早いと言おうとした瞬間に丸太は薪の大きさに切れていた。
「若先生、お弟子さん、ありがとうございました。ほら、ちびもお礼しろ」
「ありがとうございました」
「炭作り頑張って下さいね」
僕と炭職人はお礼を言ってまたソリを引いて、またソリが止まる。
きーん!きーん!きーん!きーん!
「おっ!やってるな」
「何の用だ」
「こいつを炉に入れて焼きを入れてやってくれ」
「正気か?」
職人が金槌で叩いている。
どうやらここは鍛冶屋のようだ。
「俺が炭にしようと火を付けたがこのざまだ」
「何!火を付けただと!」
どう見ても火を付けたようには見えない普通の薪だが、鍛冶職人が金槌で薪を叩く。
きーん!
「鉄だな」
薪を炉にくべるが何の反応もない。
炉から薪を取り出し金槌で叩く。
きーん!
もう一度、薪を炉にくべ取り出し水に入れる。
「うんともすんとも言わない、これは本当に薪なのか?」
「薪だ」




