騎士
私は冒険者に向いていない、デコに出会った事でまた共に闘いたいという気持ちが強くなった。
騎士の募集を見て王都までやって来た、騎士になって強くなりたい。
騎士団の入団試験は最難関と言っていい。
体力試験、学力試験、戦闘試験を勝ち抜いて騎士になる事が出来る。
毎年、数千人の志願者がいる中、体力と学力が終わり残すは戦闘のみ。
戦闘試験は近衛騎士団長自ら相手になる。
加護やスキルや魔法を駆使して闘い、私が出来る闘い方は集団戦のみで一対一では絶対に敵わない。
戦闘が始まると私は他の志願者の中に紛れ込んだ。
近衛騎士団長が構わず突っ込んで来ると、私は壁になった志願者にプロテクトの魔法掛け近衛騎士団長の攻撃を防ぐ。
しかし壁になった志願者は遥か彼方にふっ飛ばされてしまう。
そうやって何人もの志願者が消えて行き一対一の状況になって私は降参した。
騎士団合格発表では私の名前が載っていて、騎士団に入団すると直ぐに信じられない事が起こった。
近衛騎士団長が追放されたのだ、保護者リレーで負けたのが理由だとか。
私には信じられなかった。
あの日、志願者を一人残らず吹き飛ばす凄まじい突破力は幻だったのか。
真相を知りたかったが私は強くなりたい、騎士団で強くなる。
やはり私の予感は正しかった、この世界に美味い話など無いと分かっていた。
確かに魔法剣より強い剣を作ってくれた、その事には感謝している。
しかし…
「早く切らないと終わらんぞ」
「待って下さい少し休憩を」
「何言ってんだ!お前さん確か強くなりたいと言ったよな」
あの時もっと早く気付くべきだった、あのトレント達は何故集団で襲って来るのか、あのトレント達は何故おちびに攻撃しなかったのか、あのトレント達が去った理由を。
それはトレント達は武器を持った者しか攻撃しない。
枝を放置すると動けなくなるから枝を切って欲しいのだ。
だから枝を切ってあげると喜んで居なくなる早く遊びに行きたいんだ。
我先に我先にと襲って来るのはそうした子供の心を持ってるからに違いない。
「トレント達は並んで待ってるぞ!トレント達は滑りに行きたいんだ!」と発破を掛けられてアスレチックパークのトレント達の枝を切り終えた。
身も心もぼろぼろだ。
私は近くにあった木にもたれ掛かるようにしゃがみ込む。
「まだ最後の枝が残っておるぞ」
何だと!確かに全部切り伏せた筈だ。
「ほれ」
確かに一本あるがこれは枝なのか?トレントでないのか?力を振り絞る。
きーん!
「力が足りんぞ」
私は木こりのように剣を振り続けた。
木こりの木を切る時の音は、こーん!こーん!こーん!こーん!だった筈だ。
きーん!きーん!きーん!きーん!何故トレント達から金属音がするのだろう?




