溜息
「はぁー」
今日は溜息ばかりだ。
「元気ないわね。今日はドナが来てドーナツ作るんだから元気出して」
「はぁー」
僕は昨日の残りのラングドシャを食べながら深い溜息をついている。
「はぁー」さくさくさくさくさくさく「はぁー」さくさくさくさくさくさく
「ちょっと!溜息つきながらお菓子食べるの止めてよ!」
「はぁー溜息ついても美味しいから手が止まらなくて」
ラングドシャが二度と消えないように、あれから何度も何度もラングドシャを焼いた。
「こんにちは」
ドナが来て僕は机に被さったまま「ドナこんにちは」と挨拶した。
「なんだかデコ元気無いね」
「いいのいいの、お菓子作ろう」
僕は学校に行きたいと思っていて、色んな事を学ぶ場所で加護やスキルの事も学べる。
学校に行く為には沢山お金が必要で孤児院にはそんなお金は無いが、加護が解放された者には無料で学ぶ事が出来る。
ジャンとランは学校に通う事が出来るが、僕の加護が解放される事は無いから今の僕に出来るのは溜息だけだ。
「はぁー」
「「出来たー」」
ドーナツが出来たみたいで、いい匂いがする。
「ドーナツ食べて元気出してね」
ドナはなんて優しいんだと思いながら見ると、ドーナツと言うよりはパンを揚げて白い粉を掛けただけのような。
「んん?美味しい」
思った通りパンを揚げて白い粉を掛けただけだが美味しい。
「「美味しい」」
ランとドナも笑顔だ。
「ん?覚えた!これ揚げパンって言うんだって」
「え?覚えたって、もしかしてランは加護を解放してるの?凄いね良かったね」とランとドナは抱き合って喜んだ。
「もしかしてデコも…」
「いや僕は違う」
「…ごめんなさい」
「いいんだ僕は皆と学校に行って学びたいと思ったんだけど僕の加護じゃ解放は難しいかなって…」
「それなら教会で学ぶのはどうかな?教会ならお金も掛からないし私達と同じ位の子供もいっぱい居るの」
「さっきまで溜息ばかりついてたくせに何にやついてるのよ」
「揚げパン美味しいからラン!ドナ!また作ってね。美味しい美味しい」
「まったく」
「ふふふっ」
教会かぁ楽しみだなぁ、学校はジャンとランに任せて僕は教会で頑張るんだ。
「デコあのね、私も「ただいまぁ。おぉ、いい匂いがする」
「おかえりジャン。ランとドナが揚げパンを作ってくれたんだ」
「揚げパンって何だ?俺も食べたい」
「僕の半分あげるよ」
「ありがと、うまー」
気付くとドナは俯いて顔を真っ赤にしている。
「大丈夫?」と声を掛けると何故かランが「大丈夫よ」と応えた。