疑惑
冒険者組合の噂話などではなく商業組合ではお菓子大会の事で討論されていた。
「初めてのお菓子大会だったから仕方ないが規則どうりにやって欲しいものだ」
「そうだな三人一組の筈が孤児院は二人だったからな」
「そういうのを踏まえて規則の作り直しだな」
「それよりお菓子大会委員自ら規則を破るなんてあってはならない事だよ」
やはり鑑定結果の秘匿が中心的な話題になっていた。
「隠すって事は知られたら大変な事になるって考えでいいのか?」
「そうだろうな、お菓子大会委員が不利になると考えるより孤児院が不利になると考えた方が自然だろう」
「だが審査員全員が実食せずに最低の一点を付けているというのは引っかかるな」
「鑑定結果のみで判断した事になるんじゃないか?」
「そうだな食べたくても食べられない理由があったのかもしれない」
「そうなると孤児院が何をやったのかっていう話しになる」
「お菓子の材料に詳しい奴の話では、材料は至って単純でチョコレートと砂糖と苺だけと言っていた」
「実際にその材料で作ってみたらしく、出来栄えは孤児院が作った物より劣っていたが食べてみると、とんでもなく美味しかったという話だ」
「それなら何故、鑑定結果を秘匿したんだ」
また鑑定結果を秘匿したという話に戻り誰もが不思議に思うのだった。
「そんなに美味しいなら商売が出来るな」
「商業組合で知らない奴は居ないと思うが、商売で料理の作り方の無断使用は牢獄行きだ」
「その点は規則にもしっかり記されているな」
商業組合でも話が尽きる事はなかった。
工房では。
「あと一点足りなかったよ」
「残念だったわね」
「また頑張ればいいさ」
妹が悔しがっていたが、そんな中で俺は最近はまってるお菓子作りをしている。
「悔しーあれ?なんかいい匂いがする」
「お菓子作りにはまってな」
「え?お兄!お菓子なんて作れるの?」
「俺が作った焼き菓子を食べてみるか?」
「お兄、私はお菓子にはうるさいよ?特に焼き菓子はうちで取り扱っている美味しいお菓子があるからね」
「そうなのか、ほら出来たぞ」
「え?お兄!この美しい白と茶色の色彩は何?」
「何?って?」
いきなり妹の様子がおかしくなった。
「食べないのか?」
妹は俺が作った焼き菓子をうっとりした目で見ている。
「お兄もっともっと作って」
「もう無い」
そして一瞬で食べ尽くした。
次の日、妹が正常になるまで一日掛かった。
「お兄の焼き菓子なら優勝出来たよ」
「そっか、やっぱりおちび達は凄いな」
「凄いのはお兄だよ?なんでおちびちゃんが?」
「この焼き菓子はラングドシャと言ってな」
「ラングドシャ?「ラングドシャを作ったのは孤児院の子達です」ラングドシャ…ふあー?」




