家族
チョコレートを型に仕舞おうとしたその時、皿の上のチョコレートが二個になっていた。
「あれ?チョコレートが増えてる」
「ラン?」
「私じゃないわよ」
「ジャン?」
「俺じゃないだろ!」
チョコレートから変な声が聞こえてきた。
「やっと見つけた。我の物を奪った人族め、主の大切な物を奪いに来たぞ」
突然チョコレートの鑑定結果が表示された。
[鑑定結果]
苺入りチョコレート(食用)
甘苦さと甘酸っぱさが融合した幻のお菓子。
チョコレートはー270度で中の苺は絶対零度ー273度。
人族が食べるのは不可能。
製作難易度S。
「これは主の大事な物であろう?奪ってやるぞ!奪われる苦しみを味わうがいい」
そう言ってチョコレートを丸噛りするとその瞬間、爆発音がした。
ぼん!ぼん!「おい大丈夫か!」
ジャンは魔物にも優しいね。虫がチョコレートに衝撃を与え破裂したみたいだ。
暫くすると、んもんも言い出した。
「んも我んもんも、んも沢山んもんも」
んも語だ!
「んも僕んもんも」
「んも四個んもんも」
んもんも言ってたら家族になっていたからと名前を付けてあげた。
「チョコ、よろしくね」
「デコ、ジャン、ラン、チョコレートぼん!ぼん!」
チョコは嬉しそうだ。
僕達はチョコの事を何も知らない、だから聞いてみると、チョコは自分の抜け殻を奪い返す為に、家までやって来たらしい。
僕はチョコに謝るとチョコレートを所望してきたので、抜け殻で作ったチョコレートの型ごと渡すと大事そうに懐にしまった。
今のチョコと同じ大きさのチョコレートだったが消えるように無くなった。
チョコは自分の住処には戻らず、ここで皆と暮らす事になり院長先生はチョコが何を食べるのか頭を悩ませていたが、皆と同じ物を出すと黙々と食べていた。
チョコは家でころころ転がったり庭でころころしたりしていて、性格は極めて温厚で自由奔放、物を壊したり人を襲う事はない。
しかし自分の物に異常なまで執着し、自分の物を奪われると何処までも追いかけて奪った相手の大切な物を奪い、奪われた物を奪い返す。
冒険者組合ではS級の魔物に指定されておりその中でも上位の名持ちの魔物とされている。
詳しい生態は分かっておらず数百年、同じ住処に生息していたが突然に住処から居なくなったという。
非常に危険な為、名持ちでS級の魔物の情報を集めようと必死になっていて、見つけ出し監視しなければならない。
そんな事も知らないデコ達は家の周りでころころしてるチョコと、一緒にころころしているのであった。




