素材
ジャンの話だと透明な容器が足りないって言ってたから、魔物の素材は透明な部分だと思う。
抜け殻の透明な部分だけ切り取ろうとしても硬過ぎて切れない。
「ちび何やってる」
「この透明な部分だけ欲しいのですが切れなくて」
「なら俺が全部持って行けばいい話だろ」
「ありがとうございます」
大男は巨大な抜け殻を担いでくれた。
「じゃあ帰るぞ」
「はい、あっお父さんは」
大男は仕方がねぇなと襟首を掴んで引きずって行った。
場所の入口まで戻って来るとドワーフを救助する為、冒険者が集まっていた。
「おい誰か来るぞ」
「ちびと大男だ」
「魔物を担いでるぞ」
「あれは魔物の抜け殻じゃないか!」
「S級の素材を持ち帰って来たのか!」
「待て!大男は魔物を引きずっているぞ!」
魔物って?引きずられて泥だらけになってるけど、お父さんですから!
威圧が解けて動き出す魔物、違う!お父さんだ!
「魔物が動いているぞ!」
「まだ生きてる」
「危ないぞ!」
「…誰が魔物じゃああ!」
冒険者組合では。
彼奴の救助の依頼を出したが無事に戻って来るだろうか?
「組合長!一報が届きました」
「魔物いやドワーフは無事との事です」
魔物?今、魔物と言わなかったか?どう間違ったら魔物と言い間違えるのだ
歓声が上がり救助依頼を達成した事で皆は喜んでいたがこの後、事情を知らない衛兵が惨事を引き起こしてしまう。
「魔物の襲撃だ!」
「なんだと!」
冒険者組合長の指示で街の外で冒険者達が待ち構える。
なんだあれは?岩石泥人形?ゴーレムか、それにしても随分小さいな。
射程内に入ったので冒険者が魔法を発動する。
「ストーンアロー!」
石で出来た矢がゴーレムを直撃する。
何か叫んでいる、名持ち魔物か?言葉を話しているようだ。
「全員攻撃準備!撃て!」
ずどーん!
冒険者は「全弾ゴーレムに命中!目標撃破!いや目標…無傷なのか」と声を出す。
駄目か直ぐに第二撃を指示する。
「第二撃、全員攻撃準備!撃て!」
ずどーん!
砂埃の中でゴーレムから怒号が発せられた。
「こん餓きゃー!」
「こん餓きゃー?」
「お父さん大丈夫かな」
「じじいなら大丈夫だろ」
僕は少しお父さんの事が心配だった。
「生半可な攻撃じゃびくともしねぇよ、いっそ攻撃されて頭冷した方がいい」
そして「がっはっはー」と大男の笑い声が響いた。
僕達の前からも話し声が聞こえて、救助依頼を受けた冒険者達が賭け事をしてる。
「俺は攻撃される方に賭けるぜ」
「俺も攻撃される方だ」
「俺もだ」
「俺も」
「これじゃ賭けが成立しないぜ」と大笑いしている。
僕達と一緒に帰ればいいのに、心配掛けたし早く知らせたいと言って一人で帰っちゃったから、何もなければいいけど。




