見回り
遊んだ後はお腹が空くもので、昼食を食べに食堂に行くと、ここでも長蛇の列になっていた。
やはり従業員の数が足りないのは目に見えていたが、急に場所が変更になったので仕方がないと列に並ぶ。
席に着いて注文をして食事を楽しんでいたが、一人の客が騒ぎ出す。
どうやらお茶の中に出涸らしが入っていて怒っているというので、ミドリに何とも気の小さい奴だなと話掛けるが姿は無い。
「サーチ」
嫌な予感が的中するが、ミドリが居たのは騒いでいる客のお茶では無く、隣にいた弟のお茶の中だった。
ミドリの為に茶畑が必要だと判断して私は弟に夏季お菓子大会への招待状を送っていたのだ。
そして、またミドリを飲む素振りを見せたので魔法を発動させて意識を飛ばした。
弟を宿で寝かしつけて、催し物が開催される場所に向かう。
いろんな催し物がある中、時間内にどれだけの飴を食べられるかを競う早食い競争があり、参加者の殆どは屈強な者達で大量の飴を前に舌舐めずりをしていた。
そんな者達の中に雪舟の姿が見えると、大量の飴の前に宝箱を設置している。
私の知っている情報ではデコがダンジョンから持ち帰ったミミックで、無類の飴好きというので飴という意味のキャンディと名付けたらしい。
冒険者組合でも鉄のように堅い鉄鋼飴という飴をあっという間になめ尽くしたと話題になった。
それを知っている地元の冒険者達はキャンディの前で舌舐めずりとは大した者だと大笑いしている。
それに火が付いて他の冒険者達と賭け事が始まり、腹を抱えての大爆笑に発展した。
結果は火を見るより明らかで、むさ苦しい者達の飴を舐める姿を見て喜ぶ趣味は無いと、その場を立ち去る。
他の場所では管理人による木こり体験が行われていて、ここでも屈強な者達が助けてくれー!と叫びながら楽しんでいるようだ。
見回りを済ませ大会本部に顔を出し、不測の事態が起こっていないか話を聞く。
武器を所持していた者達は、出入り口にいたトレントに連れ去られて枝切りに従事させられているという。
後に審判の森と呼ばれ、武器を所持した者に枝切りを強いる魔物として恐れられる。
ソリを盗んで逃げた者は、黒い魔物にソリごと身包みを剥がされたという。
後に黒い悪魔と恐れられ、魔物の住処にいた伝説の魔物では無いかとの憶測が飛び交う。
他愛も無い話では、魚が空を泳ぎながらやって来て、お菓子を食べて去って行ったという。
後にその魚は精霊の湖にいるとされる精霊様だとか?違うとか?
大会本部に集められた情報に深刻なものは無く、ここまでは大成功と言えるだろう。
そして、ランが予告した夏に相応しい冷たいお菓子が楽しみでならなかった。




