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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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洗礼

 飯を食ったら枝切りの仕事だと言って俺は仕事場に連れられて剣を持たされた。


 この木剣で枝切りをするのだというがちびの親父が持っていた物と同じ伝説の木剣がこんなに有り、これで枝切りをするとはなんて楽な仕事だろうか。


 どんな物も斬り裂く木剣を持ち、一人でも出来るぜ!と気が大きくなっていた事を後悔する。


「おら!早くしないと仕事が終わらねぇぞ!」


「助けてくれ!」


 ここは魔物の住処だと思い知らされ、絶え間なく襲ってくるトレントに絶望する。


 手に力が入らず木剣すらも持つ事が出来なくなると、仕方がねぇなと間に入りトレントを撃退するその光景は鍛冶職人では無く屈強な戦士のようだった。


 枝切りが終わると自由に過ごす事が許されていて鍛冶仕事をすることも出来るという。


「この剣はあんたが作った物か?」


「俺じゃねぇ」


「やはりちびが…」


「ちび?ちびには無理だろ」


 あんたでも、ちびでも無いなら一体誰が木剣を作ったんだ?初代ドワーフ王の遺産か?


 初代ドワーフ王が優れていたのはミスリルに関してで木剣とは無関係の筈だ。


 そう言えば先代のドワーフ王は加護の恩恵を受ける事が出来ず追放されたと聞いていたが…


「俺も気になって調べてみたが、この剣はトレントの枝とオリハルコンを融合した物で錬金魔法じゃねぇと作れねぇ」


「伝説の鉱石と伝説の錬金術だって!」


 しかし何でトレントの枝なんだ?融合させるならもっと良い素材が有るだろうに…


「お前、何でトレントの枝を使うんだって思ってるだろ?」


「悪いがその通りだ」


 さっき斬ったトレントの枝をこれで斬ってみろとミスリルの大斧を渡され斬りつけると、きーん!と弾かれてしまい大斧が刃こぼれしている。


「どうだ?」


「ミスリルより硬い枝…」


 木剣は鍛冶職人が作ったんじゃ無い…錬金術士が作ったんだ…


 改めて木剣をまじまじと見ると文字が刻まれているのに気付き、おじさん用と刻印されているが、これが何を意味しているのか俺には理解出来なかった。


 宿に戻り家族と話し合いをして、ここで働かせて貰う事に決まり、家族は妙に喜んでいるので理由を尋ねると、今やここで働きたくても働けないという。


 魔物の住処で?と頭をよぎるが安全を確保している木こりが大勢いれば家族も安心だろう。


 俺は鍛冶職人から木こり職人に転身する決意を固め管理人に挨拶をする。


「ここで働く事になった。宜しく頼む」


「こちらこそ宜しくお願いします」


 ちびの親父が管理人だったからか、がっちりと握手をして俺と家族は新たな道に進み出した。

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