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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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入国審査

 険しい山々を進むとドワーフ王国に入る入り口が在り、鍛冶大会を控え腕に自信を漲らせた職人らしき者達が門の前で列を成していた。


「お前も大会に参加するのか?」


「はい」


 その声は親父に向けられていたが、僕は話を掛けて来た職人らしき者に返事を返す。


「息子のちびは入国出来ないぞ?」


「え?」


 大会期間中は職人と弟子以外の入国を規制していて門番に審査されるらしい。


 親父には木こりの職人になって貰う事で話を合わせる。


「職人と弟子は誰だ?」


「僕が職人で親父も職人です」


 失笑がやまびこになって響き終わると再び門番が口を開き、嘘は重罪で牢獄行きだと脅される。


「お前が職人でちびが弟子だな。入れ」


「…」


 ドワーフ王国に入国すると門の中には街が広がっていて、あちこちから煙が上がっていた。


 大会に出場する為の一次予選をするらしく、鍛冶場に案内されると親方らしき者が話掛けてくる。


 お前等の予選をするから作品を出してくれと言われ、各々が自慢の作品を棚に並べていく。


 親方が一つの作品の前で足を止めるとこの作品を作った奴は前に出ろと声を荒げる。


「ちびが作ったのか?この作品は何だ?」


「はい。ミスリルを板状に加工して作った肉焼き用の板です」


「肉を焼く為にミスリルの板を作っただと?」


「最高の肉を焼く為だけに作りました」


 親方は僕の作品を不合格と言って他の者達を退出させると、この肉を焼いてみろと言われるが僕の鍛冶大会は呆気なく終わってしまった。


 ミノタウロスの肉に比べて明らかに肉質は良くないが、親方が日頃から食べていそうな肉ならば違いが良く分かるかも知れない。


 自前の炉に炭を入れミスリルの板を載せて肉を焼き始め、ミディアムレアで焼かれた肉を親方に提供すると唸り声を上げる。


「美味い!合格だ」


「ありがとうございます」


 どうやら予選は敗退したがステーキはお気に召したようで、親方から少しの間、俺の元で腕を磨かないかと提案されると、親父が予選を通過してしまったので大会終了までと提案を受け入れる。


 親方は有名な鍛冶職人だった様で、国から武器の製造依頼が次々と舞い込んでいた。


「ちび、武器を打ってみねぇか?」


「武器ですか…」


 僕は武器を持って戦う訳では無いので作る気にならない。


 僕が断ると親方は残念そうな表情を見せて武器を打ち続け、出来上がったミスリルの剣は装飾が施されとても綺麗だった。


 それから何日か経ち、鍛冶場に兵士がやって来ると虚偽の申告をして入国したのはお前だなと連行されそうになる。


 親方には事情を話していたので逃げろと言われるが、鍛冶場は兵士達に出入り口を塞がれていて、ここで暴れれば親方に迷惑が掛かると抵抗せずに牢獄に連行された。

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