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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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お菓子店

 帝都のダンジョンの周りには天幕が建てられていて冒険者達がそれぞれ食事や睡眠を取っている。


 僕達は空いている場所でミノタウロスの肉を焼き、音と匂いが辺りを包む。


「これがミノタウロスの肉か。堪らんな」


「サーロインの角切りステーキです」


 正直、もっと沢山のミノタウロスが出現すると思っていたが、ボス部屋の一体しか倒せなかったお陰で寂しい食事になった。


 ミノタウロスの変異種の割には、ちまっとした量と肉質の等級は低めで期待していた物じゃ無かったが、冒険者が喜んで食べてくれたので僕も満足だ。


 軽い食事を済ませ帝都に戻り冒険者と別れ、気になっていたお菓子店に向かった。


 店に入ると空いている席に着き、注文してお菓子が運ばれて来ると焼き菓子を口に入れる。


 ばりっ!「堅っ!」思わず口に出るが何処か懐かしいのは、ランが加護の恩恵を得る前に作った

焼き菓子に似ていたからだ。


 昔を思い出し自然と笑みが溢れると刺すような視線を感じた。


「ちび!文句を言って笑うとはどういうつもりじゃ」


「誤解です。昔食べた焼き菓子を思い出していたんです」


「昔食べたじゃと?」


「家族がお菓子を焼いてくれたんです」


「嘘はいかんのぅ。この店は最近出来たばかりで似たような焼き菓子は出回っていないぞ」


「そうなんですね。きっと帝都の流行を先取りしてしまったんですね。辺境の街ではラングドシャが流行してますから」


「ラングドシャというのは食べた事は無いが、ここの焼き菓子が一番だと思っておる。家族が作れる代物じゃないぞ」


「僕が作ったラングドシャで良ければ食べてみますか?」


 僕は冒険者と思われる風貌の者に数枚のラングドシャを渡したが、その老人は食べる事は無かった理由として、美味しいお菓子を食べた余韻に浸りたいからだそうだ。


 誰にでも好き嫌いは有り、僕は素朴で堅い焼き菓子よりバターの味が染み込んだラングドシャが好みだった。


 歳を重ねると素朴で堅い焼き菓子が、自分の好みになる日が来るのかも知れないと考えさせられた。


「ちびも美味いお菓子が作れるように頑張るのじゃぞ」


「はい。精進致します」


 老人は明日のおやつに頂くよと笑顔で話すとその場を立ち去る。


 普通ならば勘違いで他人から、うんたらかんたら言われれば腹も立つが、お菓子をこよなく愛している様で怒りは湧いて来なかった。


 お菓子店を出ると薄暗い道を進み、宿を探す。 


 明日は帝都を出発して玉露を求め旅立つのだが、今度は家族皆で帝都を旅行したいと思うのだった。

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