肉焼き店
「ふざけんじゃねぇぞ!肉焼き店が肉を切らすんじゃねぇ」
「申し訳ありません。ミノタウロスの肉は冒険者頼りなので量が少ないのです。他の肉なら有るのですが…」
店員に冒険者頼りだと言われ冒険者は唇を噛み渋々店に入って行く。
ミノタウロスはダンジョンのモンスターで冒険者が倒さなければ肉は取れなく、肉が少ないのは冒険者のせいでもあるのだ。
僕としてはミノタウロスの肉でなくても十分に堪能出来る自信は有ると思っている。
僕達も店員に呼ばれて店内に入り相席を求められると、さっきの冒険者と同席した。
「お前等も残念だったな。ミノタウロスの肉が食えねぇなんてな」
「そんなにミノタウロスの肉が食べたいのですか?」
「そりゃそうだろ。最高級の肉だからな」
「ですよね」
肉焼きが運ばれて来て食事を始め冒険者の溜息で食事が美味しくないのもあるがミディアムレアで注文した筈の肉がかりかりに焼かれて出て来たのだ。
「はぁー」
僕と冒険者の溜息が合うと冒険者は思い出した様に話し出す。
「ミノタウロスの肉を食べてるってのは本当か?」
「はい」
「ちびの親父は冒険者でミノタウロスを倒す実力が有るって事か?」
「はい。親父は肉屋にミノタウロスの肉を卸しています」
冒険者はだっはっはーと笑い出し、俺と一緒にこれからダンジョンでミノタウロスを倒しに行こうと誘われる。
帝都近郊に在るダンジョンの最深10階にミノタウロスが居るらしく一人では厳しいので強い仲間が必要だという。
1階に居るミノタウロスでも美味しいのに10階に居るミノタウロスはどんな味がするのだろうと考えただけで涎が出る。
ダンジョンに入るには冒険者組合で発行している証明書が必要で食事を終えると帝都に在る冒険者組合に向かう。
どん!と先陣を切って雪舟が扉を開くと騒がしかった冒険者達が静まり返った。
受付嬢の前に行きダンジョンに入る為の証明書が欲しいと言うが冒険者でないと入れないと言われる。
この世界では国ごとの冒険者証明書が必要で冒険者になる為には試験を受けなければならなかった。
「お前等は帝国出身じゃなかったのか?」
「はい。実は鍛冶大会に出場する為に辺境の街から出てきました」
「悪かったな。ドワーフ王国に行く途中だったんだろ?」
「大丈夫です。僕もこの国のミノタウロスに興味が有りますので」
受付嬢は僕達の話を聞いていて冒険者試験は筆記と実技があり、冒険者証明書があると筆記は免除されると言う。
僕は冒険者証明書を提示するが見習い冒険者はダンジョンに行けないと言われる。
「だっはっはー。ちびも冒険者だったか」
「…」
僕の街では仮の冒険者証明書なら大丈夫だったのに帝国では駄目らしい。




