地獄
「お集まりの皆様」
「今日という日を迎えられて光栄に思います」
「新作のお菓子を楽しんで貰えた嬉しいです」
ラン先生の挨拶から始まった新作発表会
何時は商業組合で行われていたが大勢の者に楽しんで貰う為に今回は冒険者組合での発表となった
貴族や応募から一般人と大勢の者が集まったが一頻り異彩を放つ二人組が特等席を陣取っている
「S級になった祝に最高の席を用意してくれるとはな」
「冒険者組合長には頭が上がらねぇな」
実はこの新作発表会の前に新たにS級になった冒険者の式典も行われ その報酬として特等席と宝箱が授与されていた
「だっはっはー」
「だっはっはー」
品の無い笑いが響く中 新作お菓子の発表が始まった
山盛りになったお菓子が運ばれてくる
「おぉ 何だあのお菓子は!」
「わぁ なんて緑色なのかしら!」
貴族や一般人が声を上げる中で特等席に居る者達の声が響く
「間違いねぇ あれは抹茶だ」
「俺達が手に入れた抹茶だ」
ラン先生がお菓子の説明を始める
「これは皆様が知っている焼き菓子に抹茶という緑色の粉末を混ぜて作った抹茶チョコレートラングドシャです」
見ただけで言い当てた冒険者達への歓声が起こる
「抹茶とはお茶の葉を乾燥させ石臼で挽いて粉末にした物で濃いお茶の味を感じる事が出来ます」
抹茶が入った硝子容器を見せて話を進める
「粉末なので混ぜても掛けても溶かしても美味しく頂けます」
ここで会場に居る全員にお菓子が配られる
ラン先生の新作発表会が人気なのは発表されたお菓子をその場で食べる事が出来るからだ
特等席にも抹茶チョコレートラングドシャが置かれ歓喜の声を上げた
「こいつはすげぇ 奴は間違い無くS級だぜ」
「恐ろしい程の覇気を纏ってやがる」
冒険者達の発言に貴族も一般人も息を呑む
「それでは抹茶チョコレートラングドシャをご堪能下さい」
皆一同に食べ始める中でS級冒険者はある儀式を行っていた
その儀式とは皿に盛られたお菓子を頂く際に目を瞑り両手を合わせるというものだ
これは作り手への感謝と敬意を示す所作である
「「頂きます!」」
目を開き抹茶チョコレートラングドシャを手に取る筈が皿には何も無かった
「「俺の抹茶チョコレートラングドシャー!」」
悲鳴にもにた叫び声が響き会場は騒然となった
誰が抹茶チョコレートラングドシャを奪ったのか?
S級冒険者に悟られる事無く盗む事は可能なのか?
致命的な事に儀式をする事で視覚を自ら奪ってしまい そこを突かれたのだ
冒険者は何処までも前向きで新たに抹茶チョコレートラングドシャを所望するが品切れと一蹴されるのだった




