財宝
そろそろ戻ってくる頃だろうか
僕は食事の準備を始めるとダンジョンからS級冒険者達が戻ってきた
他の冒険者から歓声を受けている
「財宝は見つけたのか?」
「あぁ ボス部屋の奥に財宝部屋があった」
「ボスが異常に強かった」
「そこにあったのだから貴重な物だ」
「早速鑑定してみてくれ」
この日の為に冒険者組合から鑑定台を持ち込んでいたのだ
皆の視線はS級冒険者に注がれた
鑑定結果
緑色の芋 食用
ただの芋が放置され緑に変色した幻の食材
毒性が強く人族が食べるのは不可能
入手難易度S
「あり得ねぇ!」
「ボス部屋の宝だぞ!」
「そうだ!食べたら筋力が強化されるとか傷が癒えるとかじゃねぇのか!」
緑色の芋を食べようとしたS級冒険者達をA級冒険者達が止める
「これを食ったら天に昇ってしまうぞ!」
冒険者達を振り解き芋を天に掲げる
「昇天!」
緑色の芋を食べるかと思われたがそのまま地面に叩きつける
ばんという音がして緑色の芋が弾け散ると怒りの形相になり話し出す
「財宝と芋をすり替えた者がいる」
「あの台座には宝箱があった筈だ」
「本物の宝箱を必ず見つけだしてやる」
「俺達をこけにした罪は重い」
「何だ そんな話か」
「放っておけ」
「でも 僕のせいで」
「大丈夫だ お前が先に見つけたんだ」
「もし奴等が先に見つけたとしたら地獄を見る事になっただろうからな」
冒険者組合長は飴を舐め回しているキャンディを見て言ったのだった
謝る機会を失った僕はキャンディと一緒に相談に訪れていた
「キャンディは人を襲ったりしません」
「本当だな?」
「はい お菓子しか食べません」
「何だと!」
キャンディに飴を上げると嬉しそうに舐め回す
「この飴は商業組合長の兄が食べていた飴じゃないか」
「はい あの時の飴より更に堅い飴です」
「あいつの話だとお兄が舐めても舐めても無くならない飴だと聞いたぞ」
物凄い舐めっぷりで飴が一回り小さくなっていた
「化け物だな」
「このモンスターを放っておけば地上からお菓子が無くなるぞ」
そうして話は終わったが機会があればS級冒険者に謝りたい
そして早くもその機会が訪れようとしていた
そう ランの新作発表会だ
冒険者組合長が抹茶なる物を手に入れてその粉末を使ってお菓子を作るという
ランが家でお菓子作りをしていたが余りの緑に絶句してしまった程だ
S級冒険者は大のお菓子好きで自分達でも作る
冒険者組合長から入場券を渡せば必ず現れる筈だ
ランの新作発表会は貴族で埋め尽くされS級冒険者だろうと会場に入るのは困難だ
そこでランに頼んで席を取って貰った
そしてその日がやって来た




