査定
僕はうんざりしていた。
訓練場にいる全員が気を失っていたから。
にこにこ顔に話かけても起きないから仕方なく冒険者組合に戻って来た。
受付嬢に渡してあった薬草を調べてもらい、初めての仕事で幾らになるかなと楽しみに待っていた。
「デコ様」
「はい」
「査定したところ殆どが雑草でした」
「え?」
冒険者達の笑い声が聞こえる。
「あのちびは一生懸命雑草を採って来やがった」
「笑ったら可哀想だろ。ぷっ」
「それを自信満々で受付嬢に雑草を渡したのか?」
「誰かちびの雑草を買い取ってやれ」
「腹いてぇ。笑わせないでくれ」
僕の初めての仕事はほろ苦いものになったが、もっと薬草の事を学んで籠いっぱい薬草を採ってやる。
薬草の査定が終わり大男が戻って来ると何故か学校の先生も一緒にいる。
僕は査定したお金を渡すと、ちびの取り分だと言ってお金を貰った。
帰りは学校の先生が家まで送ってくれたお礼に、院長先生はラングドシャを渡すと先生は少し笑顔になった。
僕は初めての冒険を皆に、あんな事こんな事あった事を話した。
私はデコを家に送り冒険者組合に戻った。
組合長から連絡を受けて駆け付けた時には全てが終わっていて、お父様を正気に戻し倒れている人の意識を回復させた。
話によると冒険者組合で揉め事が起こり訓練場で4対1の闘いが始まったらしい。
子供を騙して連れ去ろうとしたとかで、怒った冒険者がお父様に闘いを挑んだとか。
そして闘いを観戦してたら急に意識を失ったと。
「はぁー」
私には見なくても分かる。
デコの面倒を観てたら誤解されて闘いになり、全員を相手すると言ったら「冗談だろ?」と言われて正気を失う。
「はぁー」
デコはデコでいつの間にか冒険者組合に戻って来て、査定したら採りに行った薬草が殆ど雑草だったらしい。
「はぁー」
冒険者組合長からは彼奴は暫く出入り禁止だと言われ、もう一度冒険者組合長室に行った。
「この度はご迷惑をかけ申し訳ありません」と言ってラングドシャを差し出した。
「お前のせいじゃないし彼奴も反省するといんだがな」
「…」
「この話は終わりだ。してこれは何だ?」
「ラングドシャという焼き菓子です」
「ほほう、じゃあ一緒に食べようじゃないか。さくっとして美味しい。軽い食感にざらざらとした口当たり。こんな美味しい焼き菓子が食べられるなら彼奴を出入り禁止にしないほうがいいな」
「…」
「お前も食べろ。あっ、その前にお茶を淹れてくれ」
「…」
「どうした?あれ?焼き菓子が無い。私に気付かれずに全部食べたのか!」
「…」
「決して許される事ではないぞ!」
「私は食べてません」
「私が全部食べたと言うのか?」
「はいラングドシャに常識は通用しませんので」
私にはラングドシャは食べられない事や、泣いている冒険者組合長を見る事になると分かっていた。




