希少
捌き方や焼き方はサーロインと変わらないだろう
他の皆はお腹がいっぱいな筈だ
希少部位だけあって肉が小さいから僕と雪舟で頂こう
じゅうー
脂が少ないだけあって静かな焼き始めだ
サーロインを焼いて分かったのは低温でじっくり焼いていく方が肉の旨味を引き出せるという事
この低温調理法でシャトーブリアンを完璧に焼き上げる
一口大に切ると中がほんのり赤い
味付けは肉を味わう為に塩のみとした
皿に盛り付け新たに号令を掛ける
「頂きます!」
僕と雪舟は一斉にシャトーブリアンを口に入れる
一切れ食べて言葉を発する
「うまい!」
さしが少ないせいで赤身の肉を感じられるが柔らかく脂が甘い
幻の肉に恥じない味わいだ
シャトーブリアンの旨さと口笛の恐ろしさ噛み締めるのであった
今日は剣術学校の演習が行われる日だ
支度をしてジャンとランと一緒に登校した
「ジャン ラン またね」
「じゃあな」
「じゃあね」
三人で登校するのは楽しいな
僕は二人と別れて剣術学校に向かった
「では紹介しよう」
「今日の食事を担当して頂ける大将だ」
「皆様 初めまして」
「食事を担当させて頂く大将のデコと申します」
「美味しい料理を作りますので宜しくお願いします」
周りを見渡すと肉屋の息子など見知った者も居た
今日の演習はダンジョンでの実戦演習と聞いていたので天幕で生徒達の食事を作るのが仕事だ
ダンジョンに着くと冒険者達で賑わいを見せていた
生徒達は四人一組になって一人の先生と一緒に行動する
僕は食事を作って皆の帰りを待てばいい
しかしあっという間に食事を作り終えてしまった
やる事が無い
「ちび 俺達も腹減った」
「これは剣術学校の食事なので」
「じゃあ これで作ってくれ」
顔見知りの冒険者達から食事を作ってくれと肉を渡された
「ちゃんと料理代も払う」
「分かりました」
暇にしているよりここで料理の腕を見せつけて大将の称号の知名度と地位向上を目指そう
この肉の塊は肩ロースだな
冒険者達は特大の肉を焼いて食べるのに慣れている
僕の肉捌きで炭の網焼きを楽しんで貰おう
ソリに載せていた道具を取り出し炉に炭を入れ火をつけるその上網を置く
準備が出来た
冒険者達を呼んで食べ方を教える
「ちび いくら何でも肉くらい焼けるぞ」
「ちびに見下される日が来るとはな」
冒険者達は抗議の声を上げるが肉を焼くのはそんなに簡単な事では無い
最高の肉を最高の焼き加減で食べるには熟練した技術が必要だと知らないのだ
「見ろ 俺が焼いた肉を」
「美味そうだろ?」
これが美味そう?
「焦げてます」




