威圧
歩いて薬草のある場所まで向かうので、早速にこにこ顔と手を繫いで歩く。
どうやら周りの人々の視線を集めているようで、この光景が微笑ましく見えるのだろう。
実際はにこにこ顔が逃げ出そうとする度に「がっはっはー」と言って押さえ付けられているだけだ。
僕も「がっはっはー」と言って押さえ付けようとするも何も起こらず、眉間にしわを寄せるだけだった。
「ちび、俺の真似か?」
「はい、僕も押さえ付けたいと思って」
「俺が何をやってるか分かってるみたいだな。じゃあ教えてやるよ」
僕の動きが急に止まった。
「これは威圧と言ってな相手を押さえ付けるスキルなんだ。解ったからって簡単に出来るもんじゃねぇぞ。がっはっはー」
動けるようになったので歩きながら練習してみよう。
「…」
こいつの威圧スキルがやべぇ。
逃げ出そうとすると体が動かなくなるし、条件下で自動的にスキルを発動してる感じで威力の強弱も出来る。
化け物だ。
これじゃ隙を見て逃げる事も出来ねぇ。
街を出て薬草がある場所に着いた。
「ちび、これが薬草だ」
「分かった」
にこにこ顔の手を離し薬草を探した。
「あった!」
「おい!あっちにもありそうだぞ」
よし!餓鬼の手も離れたしあの大男から離れれば逃げられる。
「あった!ありがとう…」ってにこにこ顔が居なくなった。
「じゃあな餓鬼!」と言う声がしたが姿は見えなかった。
僕は「がっはっはー」と笑って眉間にしわを寄せた。
「どうした、ちび」
「にこにこ顔が逃げた」
「がっはっはー今日の仕事は薬草だ。いっぱい採れよ」
籠いっぱいに薬草が採れたので帰ろうとする道端で「なんだ?」と大男が言う。
「誰か倒れてます。助けないと」
僕と大男は急いで倒れてる人の元に向かった。
「おい大丈夫か?」
「大丈夫ですか?」
声を掛けると倒れていた者は意識を取り戻したが、朦朧としているようだった。
「あ、ありがとう」
「何があった?」
「走ってたら、いきなり体が動かなくなって意識を失ってしまったようだ」
大男は何故か僕の方を見ると、いつものように笑い出した。
「がっはっはー」
「がっはっはー?」
倒れていた人は不思議そうにしていたが、すぐ意識が鮮明になったようで、がばっと起き上がった。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるか?」
「今度は僕が手を繫いであげます」
「…」
冒険者組合では。
「おい急に俺達を呼び出してどうしたって言うんだ」
「あの大男は小さな子供を騙してるの。あの大男を懲らしめるのよ」
「俺達A級冒険者が必要なのか?」
「悔しいけど今の私では手も足も出なかった」
「仲間と組めばA級の実力があるお前が手も足も出ないか」
「何よ」
「その大男を倒したら俺等の仲間に入れ」
「分かったわ。その代わり必ず懲らしめてよ」
「あー任せろ」




