称号
「やはり大将はパティシエじゃなく大将ですね」
「パティシエ?」
「お菓子を作る職人の事です」
何それ かっこいい
僕もパティシエがいい
「でもなぁ これで酒が呑めるかっていうとなぁ」
それならと僕は鍋にブランデーを入れて食べて貰う事した
「かー 酒だ」
「酒の味がする!」
「これは凄い発想ですね」
「食材にチョコレートと言うのも驚きましたが更に酒も入れてしまうとは」
先生方は美味しそうに食べていたが僕は気になって仕方が無いのだ
そして決め付けたように話をする
「これで僕もパティシエですね」
「これを食わされたんじゃ認めるしかないな」
「そうだな」
僕は次の言葉を待っていた
お菓子職人としての称号を
「よっ!」
「よっ!」
「よっ!?」
「大将!」
「大将!」
「…」
僕はパティシエの称号を得る為に商業組合に向かった
受付で了承を得て料理教室に向う
教室にはいい匂いが漂っていて料理を作っている見知った者達が大勢いた
その殆どが冒険者達だ
冒険者組合には料理教室が造られていない為わざわざここまで来て料理を作るのだ
「ちび 何作るんだ?」
僕はパティシエだ
そう呼ばれるまで返事をしない
そう思ったが皆が認知してからでも遅くは無いと思い応える事にした
「チョコレートフォンデュです」
「チョコレートフォンデュ?」
「おお!俺は知ってるぞ!」
「教会祭で作ったやつだろう!」
「はい 誰でも作れる料理です」
冒険者達の声がでかいせいで他の者達は料理の手を止めて集まって来た
これで僕に注目が集まりパティシエと認知してくれるに違いない
「チョコレートフォンデュとはな鍋にチョコレートを入れて溶かしして出来上がりなんだぜ!」
あれ?それは僕の話す言葉だよ?
「それなら誰でも出来るだろ!」
「でな 食材を串に刺して溶けたチョコレートを絡ませるんだ」
あれ?何で皆は冒険者の方を見てるの?
「芋でもか?」
「あぁ 芋でもだ」
だから僕に注目して?
「芋がどろどろになったぞ!」
「俺も同じ事を言ったな」
「食べてみろ」
僕を見て!
「うめぇ!」
おおー と野太い歓声が上がる
集まった冒険者達は歓喜していた
これなら美味いチョコレートが食えると涙する者さえいた
これに危機感を感じた僕はあの冒険者が知らないブランデーを入れて注目を集めようとした
「これも入れてみるか」
「おい てめぇ何入れてんだ!」
「うわ!酒くせぇ」
冒険者達は声を落とした
折角美味い物を作ったのにと
不向きな者が料理に手を出した結果は必ず訪れる不幸だった
しかし冒険者達は知らない
本当の不幸な者が自分達でない事を
そして僕は無言のまま鍋をかき混ぜたのであった




