評論
こんなちびが山菜料理だと?
生徒ですら碌に料理出来ないというのに
はぁー また不味い山菜料理か
だが何故こいつはここで酒を煽ってるんだ?
しかも山菜を食べながら
山菜にはうるさかった筈だがな
酒の力か?
仕方無い
生徒では無いがちびの山菜を食べて悪いところを指摘するのも私の役目か
「私にも一つくれないか?」
「はい」
私は茹でたと思われる山菜を見る
大丈夫だろうか?
山菜は適切な下準備をしないとあくが抜けず体に毒なのだ
生徒達の山菜を食べた時は必ず毒消し薬を飲む
そしてさっき毒消し薬を飲んだばかりだ
はぁー
こいつがちびを連れて来たんだ
酒でも奢って貰わないと割に合わん
私は酔っ払っている奴からちびに視線を移した
ちびはどろっとした物に山菜を入れてどろどろになった山菜を熱している油の鍋に入れた
じゅー
いい音だ
山菜を泳がせるように入れている
まるで料理人のような手つきだ
山菜から出る気泡が小さくなる
ちびは油から上げる時を見極めているようだ
さっと取り上げ油を切って紙の皿に盛り付け仕上げに塩を振る
完璧だ
「山菜の三種盛りです」
私はふきのとうの揚げ物を手に取り口に入れた
「かーうまい!」
さくっと揚がっていて油のべたつきも無い
塩を振る事で素材を味を引き出している
そしてこの柔らかい苦味も絶妙でしっかりあく抜きされている証拠だ
次に竹の子を手に取り口に入れる
「かーうまい!」
下準備も完璧で堅いところは無く柔らかい
衣がさくっとして竹の子のこりっとした食感も残っている
最後はこごみだ
山菜にはあく抜きが必要だったり癖が強かったりするが こごみにはそれが無い
変に下準備をすると鮮度が落ちる
私は調味料や香辛料を掛けて生で食べるのが好きなのだ
揚げ物にしてしまったのは残念だったが食べてみよう
「かーうまい!」
この鮮度この食感
実に素晴らしい
水で汚れを落として衣を薄く付ける
そして軽く揚げる
他の山菜と違い素揚げのような感じを楽しめる
山菜の三種盛り
実に見事だ
ちびには相応しい名が必要だ
其処で私はこう呼ぶことにした
「美味しかったです 大将」
「大将?」
「優れた料理人に贈られる称号です」
大将の顔に笑顔は無い
何故だろう?
年端も行かぬちびが大将などと呼ばれる事など無いのだが
「先生と大将ならどちらが凄いですか?」
このちびは先生に憧れているのか?
なら私が大将の素晴らしさを教えてあげなくてはいけないな
「横にいるこの酔っ払いも先生だ」
「この姿を見て凄いと思うかな?」
「いいえ」
「だろ?大将は人目でこんな姿を晒さないものなんだ」
「大将って凄いんですね」
こうしてデコは大将の称号を得たのだった




