喧嘩
アンデッドは特に同族を好み、感情が無く食べたいという本能だけで襲い掛かってくる。
助けられただと?そんなアンデッドが居るのか?
「何かの間違いでは?」
「多分、本当だろう。丸太を持ち帰ったS級冒険者が言ってた話だからな」
準優勝の強者はS級冒険者だったのか!
「死者はとんでもなく強かったってさ。大勢のトレント達のあの丸太のような枝を一瞬で切り落としたって言ってた」
「死者というのは味方なのか?」
「それは分からない…がトレントと戦った俺だから分かる事がある。そんな事が出来る奴を敵に回せば世界が滅ぶ」
そんな強いアンデッドが居るとは…
しかし味方に付ければトレントを倒す事が出来る。
がちゃん!と物が割れる音がする。
「てめぇ俺の魔法は効かねぇだと!」
「そうです。魔法は効きません」
「帝国軍如きのファイアストームじゃ無理だろうが俺の魔法は…」
「一人一人の魔力は貴方が上でしょう…ですが五万人のファイアストームの威力は貴方の比ではない」
「じゃあ、何の為に魔法士を派遣した」
私も知りたいくらいだが私が答えるしかない。
「今回の魔法士の役割は近接職の支援とトレントの妨害だ」
「俺にこいつらの支援をしろだと?」
こいつらとは武闘大会に参加した者では無く、同胞を連れ戻す為に魔物の住処に入るという者達だ。
武闘大会で近接職が少なかった事で帝国と其の者達の思惑が一致した結果、共闘する事になり魔物を討伐する仲間として参加している。
情報では国の屈強な戦士達だという事だが果してどうなるか。
「何だ?俺達に文句あんのか?」
「お前等にトレントを切れるのかと思ってな」
酒が入っているせいで誰も止めようとしないから喧嘩が始まった。
この戦士達の強さでこれからの運命は変わり、近接戦で魔法士に勝てなければこの遠征は中止だ。
素手の戦いだが身体強化した魔法士が戦士の拳を躱し、逆に拳を打ち込むが全然効いていないと拳を振り回す。
速さは無いが力が強く、これなら丸太のようなトレントの枝も切れるのではないかと期待させた。
武器は木を切るのに適した大斧で、支援魔法で力上昇と速さ上昇を掛ければトレントを圧倒する事が出来ると私はそう確信した。
そうして夜が明けると共に村を出て魔物の住処に向い、魔物の住処を監視している帝国兵に状況を確認する。
「変わった事は無いか?」
「魔物の勢力が拡大しました」
「魔物が増えたという事か?」
「恐らくは…」
時が経てば経つほど危険だという事か…
「私達はトレント討伐に出る」
「はい」
入口にあるフルプレートアーマー案山子を余所に戦いに挑むのであった。




