遠征
武闘大会で一騎当千の強者を集める事に成功したが少し不安が残ったのは、それは魔法士が多かった事だ。
私は先の戦いの司令官に魔法が効かなかったという話を聞き、ファイアストームが効かないというのは魔法耐性が高いという事だ。
果して上級魔法なら通用するだろうか?魔法攻撃は諦めて支援魔法で近接職を強化したほうが良いのではないか?
だがもう時間が無い。
魔物の住処から一番近い村にやって来ると、ここには先の戦いで敗れた兵士が大勢暮らしている。
少しでも勝率を上げる為、酒場へ情報収集に行くと既に強者達が食事や酒を手にして話が盛り上がっていた。
私も席に座り腹を満たすと相席の村民に話を聞く。
「魔物の住処について何か知っている事は無いか?」
「知らない奴等が多いと思ったら魔物の住処に行くのか」
「トレントの弱点はあるか?」
「辞めたほうがいい。何日か前に一人で魔物の住処を通り抜けようとした強者が居たが二日で帰って来た」
武闘大会で準優勝の強者も魔物の住処には行かないと棄権し、剣が無い限り絶対勝てないと…
「剣があれば勝てるだろうか?」
「俺は帝国軍の前衛として剣を振るったが丸太のようなトレントの枝の一撃で折れてしまったよ」
準優勝の強者がこの丸太を切れる奴じゃないと話にならんと言っていたのは、その丸太がトレントの枝だったのかもしれない。
如何に強者を集めたとしても、これでは勝てる筈は無いが引く事は出来ない。
何か策は無いか。
「先の戦いは全員が倒れた者は疎か傷一つ無かったと言うのは本当か?」
「あぁ、やろうと思えば一瞬で全滅しただろうがな」
何故、魔物が人に慈悲を与えるんだと、そこに何か秘密があるのかも知れない。
もしかすると攻撃の意思が無ければ攻撃して来ないのかも…
だが装備無しでトレントと対峙するのは余りにも危険過ぎて、私が命じたとしても言う事を効かないだろう。
「魔物の住処にはトレントが居ると聞いたが他には魔物は居るか?」
「黒い丸い魔物が居た」
「黒い丸い魔物?」
「俺は見たんだ剣や鎧を拾い集めているのを」
「その魔物は魔物の住処の主では無いのか?」
「其処までは分からない」
トレントが来る前に居た魔物で何百年の間、其処に住み着いて軍隊を一切通さなかったという。
「それと死者が居るらしい」
「死者だと!アンデッドが居るのか!」
大誤算だ!アンデッドハンターも聖魔法の使い手も居ない。
「その死者というのに助けられたんだと」
「はい?」




