見学
こいつは少し痛い目を見た方がいい。
トレントに攻撃されてもぼこぼこになるまで助けてやらねぇ。
「おかしいですね」
「なんだ怖気づいたか?」
「いえ、トレント達が来ないのです」
「まだ気付いてないだけだろ」
ふん、木こりに何が出来るってんだ…どうせ俺に押し付けるつもりだろ?
「しまった!私とした事が」
「どうした?」
「今日は魔導ウォータースライダーの実験日でした」
「魔導…何だって?」
「魔導ウォータースライダーです」
理由の分からん事を言いやがって…
「初心者に一人で魔導スライダーは無理なので二人乗りのソリで向かいましょう」
一度小屋に戻りソリという物を取ってきた。
「これで行きましょう」
「何だと!」
ソリというのは、あの変な生き物が引いていた物じゃねぇか!
「乗って下さい」
「乗れだと!」
こけにしやがって…俺は荷物じゃねぇ。
「ふざけんじゃねぇ!」
「仕方ありません、では一緒に乗りましょう」
ソリというのを押して跳び乗るだけか?そんなもん誰でも出来るが、それとも隠された何かがあるのか?
「行きますよ」
「行こうじゃねぇか」
しゅー!何だこの速さは!体が持ってかれる…だが伊達に鍛えておらんぞ。
「楽勝だぜ」
「では時間がありません、急ぎます」
しゅん!「ぬぉー」首が折れる…
「ぬぉぉぉぉぉー」俺はもう駄目だ。
「着きましたよ」
「…」
助かった…この木こりが魔力を込めた瞬間、地獄を見たぜ。
顔が真上を向いて、もう少しでぽろっと逝くところだった。
このソリってのはとんでもねぇ代物だったんだな。
「居ませんね…どうやら滑りに行ったようです」
「おい、俺はもうソリには乗れないぞ!体がぼろぼろだ」
「ここからはソリ無しで滑ります。私は先に行きますのでここで待っていて下さい」
「分かった」
木こりは魔導ウォータースライダーという物に跳び乗ると魔力を込めて一瞬にして消えてしまった。
しかし待っているというのは俺の性に合わねぇな…そうだ!魔力を込めなければ良いじゃねぇか!
魔力を込める前なら楽勝だった。
俺は走りながらソリを押して魔導ウォータースライダーに突っ込んでソリに乗り込む。
しゅん!ソリに乗った瞬間に仰向けに倒れてしまった。
何故だ…魔力も込めていないのにこの速さは…
幸い仰向けになった事で体への負担が無く滑る事が出来た。
しゅん!しゅん!しかし尋常ではない速さと体力の低下で徐々に精神を蝕んでいった。
しゅばー!着いたようだが俺の体はぴくりとも動かなくなり精神も平常を保てなくなって、気付けばまた寝床に寝かされていた。




