管理人
とんとん!
「誰だ!」
「おはようございます!私はここの管理人です」
また変なのが入って来たら大変だと俺は慎重に扉を開ける。
ぱっと見は普通のおじさんだが違和感を感じたのは装備が無いからで、ここに来るのに武器の一つも無い。
ここはまだ魔物の住処なのにだ。
「管理人さん!」
しかし家族の一言で安心すると管理人を小屋に入れて話を聞き探る事にした。
「朝食は如何でしたか?」
「あぁ、どれもとても美味かったが特にあれが美味かった」
「あれ、と言いますと?」
俺はあれまみれになっている変な生き物を見て管理人も理解したようだ。
「あー、チョコレートですか」
「チョコレート?」
「私も詳しい事は分かりませんが豆から出来ていると聞きました」
「豆だと!」
どういう事だ!豆からあれが出来るなんて信じられねぇ。
こいつも操られているのか?
「私は専門家では無いのでラン先生なら分かるかも知れません」
「ラン先生?」
「はい、チョコレートのお菓子を作った方です」
「あれを作った先生だと!」
とんでもなくやばい奴がいる。
あれから出る匂いで幻覚させて、あれを美味しいと思わせているに違いない。
「ところで体調は大丈夫でしょうか?」
体調?あれのせいか、あれのお陰か気にならない程度に回復しているようだ。
「大丈夫だ」
「それは良かった。では早速仕事の話をしましょう」
「仕事?」
「まだ家族から話を聞いてませんでしたか?ここで働く話です」
「何だと!」
魔物の住処で仕事なんてあり得ねぇ。
そうだった、こいつも操られているからまた話を合わせて探りを入れよう。
「私と交代で仕事をしませんか?」
俺がこいつと交代でトレントの枝を切り落とすだと?
「今は私一人で仕事しているので休みが無いのです」
こいつ一人でなんて出来る筈ねぇだろうし、そもそもこいつにトレントの枝を切れるなんて思えねぇ。
どう見ても冒険者には見えねぇし、見えてもこいつは木こりだろうよ。
「いいだろう」
「取り敢えず一日交代でお願いします。今日は私が仕事をしますので」
なら俺はこいつの仕事ぶりでも見てやるか。
「なら俺も見学させてくれ」
「仕事に意欲的な者は大歓声です。それで夫人の方ですが…」
「てめぇ、俺の家族に手ぇ出そうっていうのか?」
「食事に宿泊に娯楽の複合施設で働いて貰おうと話をしていたのですが」
「ふざけんじゃねぇ!何処にそんな複合施設があるんだ!あるのは小さな小屋だけだろが!」
探りなんてもうどうでもいい。
家族に手ぇ出す奴は許せねぇ。
「はい、これから作ります」
「てめぇ」




