茶菓子
「うー」
身体が痛い。
俺はトレントを撃退して見つけた小屋に辿り着くと力尽きてしまい寝床に寝かされていたが小屋の住人が助けてくれたのだろう。
家族は無事だろうか…
部屋を出ると其処には最愛の家族の姿があった。
「無事だったか」
年甲斐もなく涙が溢れ、話を聞けばトレントに襲われた時に俺の家族を助けてくれた御仁がいたと。
ぐー。
こんな時でも腹は空くもんで俺の腹の音を聞いた家族はもう少しで食事が運ばれて来ると言った。
とんとん。
魔物の可能性があるかも知れない。
「俺が出る」
扉を開けると変な生き物がいて、咄嗟に腰に手をやるが武器が無い。
その生き物は俺を無視して小屋に入り込んだ。
「てめぇ!」
「雪舟?」
家族は変な生き物を待っていたかのようだった。
変な生き物が引いていた荷物を取り机に置くと、荷物の中身は食料でまだほかほかしていた。
呆気に取られていると俺の座っていた椅子にちょこんと座り瞳をきらきらさせていた。
食事の準備を済ませ食べ始めるが家族は変な生き物と楽しそうに食事をしている。
俺は床に座り一人で食べているというのに…
食事を済ませお茶をすすると、ここは魔物の住処の端だが安心してしまった俺がいる。
お茶と一緒に出て来たのは見覚えのあるあれで、黒くて丸い物と言えばあれしか無い。
何故あれが出て来た?
家族がそれを食べようとしていたので慌てて止めるが俺は家族に激怒されてしまい話を聞くと、あれでは無く茶菓子だというのだ。
正直信じられねぇ。
まさか魔法か何かで操られているのかと俺は変な生き物があれを食べているのを見ていたが、変な生き物の口の周りがあれまみれになっている。
ぞぞぞぞぞ!
人生で初めて恐怖を感じた。
変な生き物があれを食っていて、あれはあいつの餌なんだ。
なのにどうして俺の所にもあれがあるんだ?やはり操られているんだと思考を巡らせていると家族があれを口にしてしまった。
「終わった」
家族を救う事が出来なかったせいで項垂れていると家族の嬉し楽しそうな声が聞こえる。
顔を上げると嬉し楽しそうな顔していたが俺は生きる事を諦めあれを手に取る。
しかし操られていないので中々食べる事が出来ず、正気を保ったままあれを食うなんて…
今迄どんな辛い事があっても乗り越えてきたし、トレントに襲われたって登り越えてきたがあれは越えられない。
俺は手にしたあれを変な生き物の口に突っ込むと瞳をきらきらさせて、あれを俺の口に入れてきた。
あれを口にしたのに自然な味わいで吐き出そうとも思わない。
噛み砕くと甘酸っぱいものが中から出てきて、あれの甘苦さと合わさり美味いと思ってしまい俺も漸く操られたんだと思ったのだった。




