剣
俺は剣を持つと刻印の場所を探し出たが、おじさん用と刻まれていた。
おじさん用!大王じゃねぇ!おじさんが使う剣なのか!
あの冒険者に嵌められたかと思い、気が付くとトレント達に囲まれていた。
しまった!家族は姿が見えなく引き離されてしまったが、俺は家族元に向う為トレント達の包囲を突破するべく剣を振り回す。
なんて斬れ味だ。
これなら直ぐに家族の元に辿り着けると思ってどのくらい経っただろうとトレントと枝を見渡す。
家族はもう慈悲にすがるしか無い。
今日も元気が良過ぎるのだろうなと思うが何時もの場所で待っていても誰も来ないじゃないか。
私の為に遠慮しているのか?いやそれは無いな。
可能性があるとしたら私の為に誰かが仕事をしてくれているに違いない。
依頼書は常時貼り出して貰っているし、きっと新人さんが来たんだ。
最初から新人さんに苦労をさせたら辞めてしまうかも知れないから手伝ってあげないと。
私は急いで魔導スライダーに乗り込む。
しゅー。
トレント達が集まっているので仕事をしている筈だと思い、直ぐに向かうと新人さんに挨拶をする。
「初めまして!」
私は紹介の為にアスレチックパーク管理人と書いた名刺を渡す。
「今日はご家族でいらしたんですね。旦那様はお仕事の最中ですので宜しければ管理人室にどうぞ。狭い所ですがゆっくりしていって下さい」
管理人室に戻り焼きたてのさつま芋とお茶を出すと本題に入る。
「で、この仕事なんですが」
私は落とすなら旦那じゃなく夫人の方だと知っているからこそ、この仕事の良い事を片っ端から話す。
子供が暇そうにしているので木彫りのトレントを二対渡す事で子供は自然と木彫りのトレントを戦わせる。
そしていつの間にかトレントが好きになり気付けばこの仕事をしている筈で、そうやって時間を掛けてじっくり落としていくのだ。
熱く語り過ぎたようで、そろそろ様子を見に行こうと思ったその時…
ばん!ばたん!
扉が開いた途端に旦那が倒れてしまい私は夫人に謝罪する。
「初日は大変ですが安心安全な仕事ですから」
夫人は私の謝罪を受け入れてくれ、旦那には明日も働いて貰う為に家族の分の食事とお菓子詰め合わせを用意する。
駄目元で大事を取ってここで宿泊する事を提案して夫人は快く了承してくれた。
私は心から夫人の寛大さに胸を打たれ、ここに宿泊施設を作らねばならない事を痛感した。
今の世の中は仕事の依頼だけでは人は集まらないから、食事に宿泊に娯楽の複合施設が早急に必要だ。
施設を作ってもらうのは良いとして、その為には人を雇わなければいけない。
私は非情になり夫人に旦那と一緒に働いてもらえないかと話を持ち掛けたのだった。




