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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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前王

 前王は策略で追放されたも同然だったが当時の俺は王の加護解放の為に奔走していた。


 やっとの事でオリハルコンの鉱石を探し出し王に献上したが偽物とすり替えられていて事実を知った時には王は既に居なく、その後も王の行方は知れず時は流れていった。


 俺は言われるがままに大金槌と大斧を作り続けたが、冒険者に大斧を作ってくれと言われ心底嫌になった。


 俺は王が使っていた大剣を作りたかったのであって、二刀の大剣に憧れて鍛冶職人になったんだ。


 その冒険者の話では剣に大王の刻印があったと。


 俺は知っている。


 王が使っていた二刀の大剣には王という刻印が刻まれていた事を確かめなければならない。


 大王というふざけた刻印をした者を…




 結局、魔導高炉による加工も失敗に終わり冒険者は去って行ったが俺は家族と共に魔物の住処を訪れる事にした。


 あの冒険者の話では慈悲を与えられ命を失う事は無いというが…魔物が慈悲とはな。


 人の方が余っ程無慈悲って事だな。


 家族を連れて来たのには訳があり、危険を承知したうえでだ。


 俺は故郷を離れ新たな場所でやり直したかったし当てが外れても故郷に戻るつもりは無い。


 そして魔物の住処に近い街までやって来たが魔物の住処は勢力を拡大しているらしく、時期にこの街も呑み込まれるのではないかという話だ。


 念入りに準備をして家族をこの街に残して行く気だったが反対された。


 俺に何かあったら助けるのは家族だと言われ、だから俺は命に替えても守らなければならない。


「よし、行くぞ!」




 魔物の住処の入口には案山子が立てられていて、案山子とは作物を荒らす魔鳥や魔獣を防ぐため田畑に立てる木や藁などで作った人形だ。


 しかしここの案山子にはフルプレートアーマーが装備されていて、肩に掛けられた看板にこう書いてある。


 危険!トレント滑走中!


 トレントがいるのは間違い無いらしいが俺は大斧を構え先頭で進み家族は少し離れた後ろから付いて来ている。


 前方上空から逆さまになったトレントが滑るようにやって来て、噂通り空を飛んでいた。


 俺は家族に離れるように言うと直ぐにトレントが上空から降りてくると、逆さまのまま枝で攻撃してくる。


 きーん!


 一回の薙ぎ払いで刃がぼろぼろになり、トレントは器用に回転して着地すると枝で10回攻撃をする。


 俺も負けじと10本の大斧で応戦するとトレントは滑るように去って行った。


 もう武器が無く次に襲われたらおしまいだ。


「おい、聞こえているか!」


「俺に剣を貸せ!トレントなど俺が倒してやる」


 俺は冒険者の話を信じ剣を貸した魔物と交渉する事に活路を求めた。


「ほっほっほー、良いじゃろう」


 不気味な声が聞こえ目の前に剣が刺さっていた。

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