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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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120/223

先生

「只今よりS級の部決勝を行います」


 どうやら間に合ったようで股間が痛いが決勝は子供の組と地元冒険者達の組で、この試合を見逃す訳にはいかない。



「頑張れよ!」


「負けんなよ!」


 観客から声援が響くと傍にいた地元の冒険者達が勝敗について語っていた。


「どっちが勝つと思う?」


「俺はちびに賭けたぜ?」


「やはりな、俺もだ」


「あのちびは底が知れねぇ」


「確かにな、伝説になっても可笑しくねぇ」


 俺は正直びっくりしていて、あの子供の組は強いがしかしそれは他の者が強いのであって子供が凄い訳では無いと思ったが、冒険者達の話はまるで子供が凄いと言っているようだったのだ。


 いずれにしてもこの試合で分かるだろう

 誰が強者なのかが…


「S級の部の決勝、始め!」


 うぉー!


 歓声と共に闘いが始まり攻撃や奇襲など無くお互いに雪玉を作り様子を伺っている。


「おかしいぞ」


「あぁ、ちびの様子がおかしいな」


 俺が見ても初戦のような元気が無く疲れたのかと思った。


「明らかに落ち込んでいるみてぇだ」


「原因は何だ?」


 そんな話をしていると他の冒険者達が話に混ざって来た。


「ジャン先生がラン先生の新作優先券の話をしだしてから様子がおかしくなったみたいだ」


「あのちびは有名人に成りたいって聞いた事がある」


「もしかしたらあのちびは」


「あぁ、先生と呼ばれたかったのかもな」


 話をしているうちに攻撃が開始され変な生き物が退場になった。


「おい!やばいぞ」


「俺の金が」


「あのちびを先生と呼べば元気になるか」


「あのちびの名前は何て言うんだ?」


 冒険者達はあの子供に詳しかったが名前を知らないとは。


「ちび先生!」


「ちび先生!」


 苦し紛れにちび先生呼びをすると子供に聞こえたのか少し元気が出て来た。


 しかしドワーフの爺さんが退場になりフルプレートアーマーは一人で相手の猛攻に耐えている。


 冒険者達が一人また一人退場して行く。


「やばい、俺は冒険者に賭けてんだ」


「俺もだ、こうなれば」


 ちび先生の応援が掻き消される程のジャン先生とラン先生の応援が聞こえてきた。


 ラン先生!


 ジャン先生!


「やばい、ちびの気力が無くなってきたぞ」


「きたねぇ口を黙らせろ!」


 あちこちで喧嘩が始まり試合にも出て居ないのにジャン先生だのラン先生だのの応援が響いていた。


 そして大歓声の中で決着したのだった。




 俺は思う。


 ラン先生の名は王都に住む者でも知らない人は殆どいないしそれ程のお菓子を作る者だ。


 ジャン先生の名は今日知ったが俺が敗れた相手がジャン先生でソリを製作した者だと知り、その名は直ぐに王都にも轟くだろう。


 そして名も知れないちび先生。


 冒険者達の話だと薬草を採りに行って雑草を自信満々に握り締めていた時点で伝説だと言っていた。


 良く分からないが果たして真の伝説になる日は来るのだろうか。

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