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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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 そうだ、こいつを植えるのを忘れていた。


「こいつの鉢を用意してくれ」


「はい、お姉様」


「今日からお前の家はここだ」


「用意出来たよ」


「よし、植え替えるぞ」


「可愛いね」


「可愛いだろ、私の子だからな。お前は祈れば成長するらしいな」


「大きくなーれ」


「いいぞ!どんどん大きくなる」


「大きくなーれ」


「いいぞ!天井を突き破って大きくなれ」




 うーん


 朝か、今日の夢はしっかり覚えているが楽しい夢だった。


「ミドリ!走り回るんじゃない」


 私は支度をして冒険者組合に向かうと皆も慣れてきたせいか奇異の目で見られる事も無くなった。


 よし、仕事するか。


 こんこん。


「お姉様、遊びに来たよ」


「来たか、ミドリを見ててくれ。私はお茶を淹れる」


「分かった」




 植えてくれと渡された苗を鉢に移して、お気に入りの湯呑み茶碗にお茶を淹れお菓子を食べていた時の事。


 ふと鉢を見ると植えた筈の苗が無くなっている。


 苗が動く筈はないが周りを見渡すと机の上を苗が歩いていた。


 そして私のお気に入りの湯呑み茶碗の中に入り、良いお茶だと言わん計りにくつろいでいる。


 それからというもの家中を歩き周りお茶を淹れるとその中に入る。


 お気に入りのお茶は緑茶だった事からミドリと命名した。


 教会に植えられた木も祈りで大きくなったと聞くが私が祈っても大きく成らなく、その代わりに歩き出したのかもしれない。


 出掛ける時は肩に乗せて行くのは一人だと走り回って危ないからだ。


 冒険者組合にも雪舟が出入りしているからか慣れれば大した事はない。


 ただ苗が歩いているだけなのだから…




「私の湯呑み茶碗が占領されてしまったな」


「またお父に作って貰う?」


「あぁ、同じ物を作って貰うとしよう」


「そう言えば後で雪舟がお菓子持って来るから」


「雪舟と友達になれるかもな」


 とんとん。


「入れ」


 雪舟がソリを引いてやって来くるとソリにはお菓子と思われる物を積んでいた。


「ありがとう、これは雪舟のお菓子だよ」


 雪舟は椅子に座りお行儀良くお菓子を食べるが口の周りはチョコレートまみれで依頼を終えてソリを引いて行った。


「ミドリを紹介したが雪舟は見向きもしなかったな」


「お菓子を食べてたからね」


「今度は食べて無い時に紹介したほうが良いな、ところでミドリはどこだ?」


「ソリに乗ってたよ」


「なんだと!」


 急げば間に合う、雪舟は職員に口の周りのチョコレートを拭いて貰っている筈だと私は直ぐに追いかけた。


「雪舟はどこだ!」


「なんだ?雪舟なら出てったぜ」


 何ということだ!足止めする筈の受付嬢がいない。


「遅かったか」


 雪舟の行きそうな場所は知っている、必ず助けてやるからな。

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