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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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退治

 見せ付けるように依頼書を取る。


「団長!」


「私が退治してやろうじゃないか」


 私が安心安全な仕事だと示せば冒険者達も我こそと依頼を受けるだろう。


「今から行くぞ」


「無理です!当分動けそうにありません」


 私の休みは今日しか無いのだ、この機を逃すと何時になるか分からない。


「行くぞ!」


 ばたん!


 部下は力尽きてしまった。


 仕方が無いなと私は部下を背負って街を出る。




 うーん。


 ここは何処だ、体が痛い。


「起きたか」


「団長」


 そうか私は途中で力尽きてしまったようだ。


「ここは何処ですか?」


「依頼先だ」


 依頼?何の依頼だろう。


 あれ?何か見覚えがあるような。


「団長、もしかしてここは」


「あら、起きたのですね」


「貴方は」


 何故ここに居るかなどどうでもいい、会いたかった。


「なんだ、知り合いか」


「はい、一緒にお菓子を作りました」


 私の事を覚えているか気になりちらちら見ると嬉し応えが返ってきた。


「そうですね」


「なら今度お菓子を作ってくれ、食事をしたら仕事に行くぞ」


 折角会えたのに仕事なんて、しかも私には関係ない仕事なのに。


「お仕事頑張って下さいね」


「はい!」


 もっと貴方と話たい。


 もっと貴方の事が知りたい。


「おい、ぼーっとするな、来るぞ!」


「え?」


 大量のトレントが押し寄せて来て、これは昨日の比でない。


「団長!危険です!撤退しましょう!」


 既に遅く団長はトレント達に囲まれ攻撃されていた。


 私のせいだ、私がうつつを抜かしているうちにやられてしまった。


「団長ー!」


「なんだ?」


 何が起こった?トレント達は物凄い速さで走り去るとトレントの枝のせいで団長の姿が見えない。


 まさか、切ったのか?あの一瞬であの量を。


 団長はトレントの枝の山を登り降りてきた。


「物好きな奴等がお前の所に来てるぞ、早く切ってやれ」


 団長に言われ周りを見るとトレントが一列に並んでいる。


 まさか団長は魔物使いなのか!なら恐れる事は無い。


 切って切って切って切って、一列に並んでくれるお陰ですらすらと枝を切っていけた。


「団長!早く言って下さいよ、大人しいトレントなど恐くないですよ」


「だから言ったろ、安心安全な仕事だと」


 ふー、やっと終わった。


 と言っても殆ど団長が切った枝だ。


 間近で見たが一瞬で切り落とす凄まじい剣技だ。


 剣筋がまるで見ない、何もしていない、其処に立っているだけだ。


 私では到底敵わないし、近衛騎士団長の時より圧倒的に強い。


 この短期間で何があったのだろう、追放されて何かに目覚めたのだろうか。


 仕事を終え小屋に戻って来ると、肉体は疲労しているが昨日と違い精神的疲労は無い。


 だが私が一番に想う人はもう居なかった。

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