仕事
「お父さん、今はアスレチックパークだけど前はチョコの住処だったでしょ」
「平和呆けしてすっかり忘れてたぜ」
私が忠告したにも関わらずどんどん奥に入って行く。
もしかして私が間違っていたのか?いやそんな筈は無い。
「ここらでいいか、枝切り用の剣を貸してやる」
「剣で枝を切るのですか?」
「自分の剣でもいいぞ」
「では、自分の剣で」
「じゃあ、予備に持っててくれ」
そう言って予備の剣を腰に付け、辺りを見回しても森どころか木すら無い。
ここで待てと言われ雇い主と小さな子供は何処かに行ってしまった。
まさか幽霊だったのか?
魔物の住処で亡くなった親子が私を貶める為に化けて出て来た。
いやそんな事は…気配がする、何かいる。
すると無数のトレントが現れた。
「魔物か!」
やはりここは魔物の住処だった。
するとこのトレントが10万の帝国軍を撃退した魔物か。
雇い主と子供が危ない!しかし目の前の脅威を祓わなければと剣を手に取るとトレントは枝で攻撃して来る。
きーん!
硬い!このままでは危険だ。
がきーん!
剣が折れた!借り物の剣を取る。
この剣では一撃も持たないだろうが斬撃のスキルで凌ぐしかない。
ぶん!
きーん!
やはり駄目か、斬撃は通用しない。
トレントの枝が襲う!
ぼと!
ん?トレントの枝が切れて地面に落ちた。
ぼと!ぼと!ぼと!ぼと!
凄い剣だ!これなら大丈夫そうだ。
やっとトレントが居なくなった。
どれくらい経っただろうか?身も心もぼろぼろだ。
私は小屋に戻って腰を下ろす。
あの親子は大丈夫だろうか?
体を休めたら探しに行かなくてはと思うが極度の疲労の為に眠りについていた。
はっ!寝てしまったか。
「お!ようやく起きたか」
「貴方は無事でしたか」
「始めての割りに頑張ったじゃねえか」
「トレント達は?」
「遊びに行ったぜ」
遊びに行った?記憶が混濁しているようだ。
「これは今日の取り分だ」
「こんなに!私は何も仕事はしてません」
「何言ってやがる、これがお前の仕事だろ」
そう言われてトレントの枝を渡された。
「これが私の仕事」
たった今はっきりした。
これが誰もやりたがらない理由だったんだ。
こんな酷い事を命を賭けてやらせるなんて許せない。
「私は命を賭けて闘いました、人の命を金儲けに使うなんて」
「何言ってやがる、こっちはちゃんと依頼書を出してる。嘘偽りはねえ!」
「危険な仕事だと隠していたじゃないですか!」
「何だと?」
私は命を掛けた闘いをしたせいか涙ながら訴えた。
「俺はトレントの枝切りの依頼書を出そうとした、そしたら私が依頼書を出しますって言ってきたんだ」
「貴方が書いたのでは無いと」
「ああ、ここの管理人だ」




