趣味
騎士団は試合に勝利し、この街での自由行動が許された私は久し振りに観光に出掛ける。
この街は活気に溢れていて、冬だというのに人々は外に出てソリを引いているのは暮らしが豊かな証拠だろう。
行き交う人々に聞いてある店に入った。
この店は王都には無い食材や調理器具が売られており、お菓子作りをする者にとって欠かせない店だ。
お菓子好きが高じて自分でも作るようになり、作るといってもパンに砂糖を振り掛けるだけだが私にとっては十分なお菓子だ。
何か自分でも作れる物はないかと店内を探す。
だっはっはー
この店に相応しくない笑い声が聞こえ、どうやら騒ぎを起こしているようだ。
声のする方に行ってみると明らかに相応しくない者が定員を困らせているようだった。
私は話に割って入り話を聞く事にする。
「もっと沢山売ってくれ」
「大人気商品なのでこれ以上は…」
「金ならある」
「困ります」
「定員が困まっているだろう」
「お?丁度いい所に来たな!じゃあ、こいつ分も買わせてくれ」
どうやら一人で買える量が決められているようだ。
「分かった、私の分も買っても構わない」
そいつは望みの物を買って帰ると思いきや親しげに話掛けてきた。
「お前は何を買いに来たんだ?」
「私はお菓子に興味があってな」
「お前が、お菓子作りか?」
「まぁな」
「なら一緒に作らねぇか?」
如何にも冒険者ですと言わんばかりの装いでお菓子を作るだと?私も人の事言えないか。
「いいだろう」
後を付いて行くとそいつは商業組合に入って行った。
受付嬢に話をして奥の部屋に入り、其処には屈強な者達がお菓子を作っているようだった。
「新入りを連れてきたぜ」
その者達は私を舐めるように品定めする。
寒気がするが私は新入りで、ここは我慢だ。
「こいつにお菓子が作れるとは思わねぇ」
「なら、お前等と一緒だな」
「だっはっはー」
「だっはっはー」
「新入り!今日は俺達が先生だ!何でも聞いてくれ」
「材料と作り方はここに書いてある、見ながら作ってくれ」
「あぁ、分かった」
まずは焼き菓子作りで鉢に材料を入れてざっくりかき混ぜ、それを焼き窯に入れて焼き終わったら完成だ。
そしてあの店の大人気商品を鉢に入れて溶かし砂糖を加える。
焼き菓子と同じ大きさにして冷まし、固まったら焼き菓子二枚を挟んで完成だ。
先生方の手を煩わせる事なく作れた。
「出来ました」
「出来たぜ!」
先生方も完成したようで、早速食べようとするとこのお菓子教室の掟を教えられた。
皆で作ったお菓子は皆で食べる。
これにより団結力が生まれより美味しいお菓子を作る事が出来るという。
私も掟に従うのだった。




