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孤児と魔物の暮らし方  作者: 無句読


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試合

 審判は冒険者組合の受付嬢で、組合長が忙しいとの事で臨時で審判をしていた。


「仲良し家族は全員揃っています、試合を開始して下さい」


 全員居るだと?

 チョコレートと水槽が家族だと?

 チョコレートと水槽が冒険者だと?


 ちびがその気なら構わねぇ、全力で叩き潰す!


「試合開始だ」


「みんな、戦うよ」


 僕と雪舟は試合開始と共に魔導ソリを押して勢い良く乗り込んで、雪舟は魔力を込めると高速で滑り出した。


 どん!


 不意を突かれた冒険者の一人がソリに跳ね飛ばされる。


 どん!


 旋回して動きの鈍い後衛も跳ね飛ばす。


 その直後、前衛の二人は二手に別れていてソリの側面を捉えることに成功する。


「もらったー!」

「もらったー!」


 きーん!

 きーん!


「なにー!」

「なにー!」


 視界を得る為に透明化していて見た目は普通のソリに見えたのだろうが、今回乗り込んだ魔導ソリは上級者の道を滑る全包囲流線型魔導ソリだ。


 乗り込む前に魔力で天面を開放し、天面から乗り込んだら魔力で閉鎖する。


 これによりあらゆる攻撃を防ぐ事が出来き、まさに無敵であった。


 どん!


 また一人。


 どん!


 また一人、飛んで行った。


 次の対戦の冒険者達は棄権する。


 全包囲流線型魔導ソリに屈したのだった。


 受付嬢が試合の結果を報告すると冒険者組合長としての権限を振りかざし、棄権した冒険者達を騎士団と戦わせると決めた。




 そして試合が始まろうとしていたが、観客達も異変に気付き始め闘技場が騒然となっている。


 騎士団はこれ以上負ける訳にはいかない。


 元近衛騎士団長が保護者リレーで破れ、

 冒険者にも破れる事になれば騎士団存続の危機に陥るだろう。


 如何なる手を使ってでも勝たなければ。


 しかし対戦する冒険者と向かい合ってみたが気合いが入らない。


 こいつらは開会式の挨拶の時からずっとこうだ。


 二人一組で一人はソリを引き一人はソリに乗っている。


 王都からやって来てこの街に着いた。


 街の人々はソリという乗り物を引いたり乗ったりしていて、子供の遊びとして雪山を滑ったり大人は重い荷物を運んだり使い勝手の良い物だと理解した。


 しかし戦闘においてのソリには理解出来ずにいた、が私は見逃さなかった。


 一部の強者達、恐らく冒険者だろう者達が、 やっちまえ!楽勝だぜ!と騒いでいるのを。


 冒険者達はあれで勝てると思っていて、あのソリには何かあるに違いない。


 私は如何なる時も油断はしないし、それが敗北に繋がる事を知っているからだ。


 しかしあのソリは冬の雪が積もっている時に使う物と聞いたのに何故、闘技場という室内でソリを使うのだ?


 対話したら何か分かるかも知れないと、これも戦略の一つだからな。


「貴様ら、それで何をするつもりだ?」


「決まってるだろ、滑るんだよ」

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