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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
勇者へきる編
97/103

アロハな女神

 ここはどこだ。

 気が付くと見知らぬ星空の空間にいたのだった。天の川のような星の数々。俺はあれか。お星さまになったってことなのか。

 ここは要するに死後の世界……。


「死後の世界じゃないんだなぁこれが!」


 と、上から何かが聞こえる。


「アロハ~! 女神さまのご登場だゾ!」

「随分ファンシーな女神が来たんですけど?」


 アロハシャツを着て、浮き輪とシュノーケルを付けた南国で暮らしてるような女神さまがやってきたのだった。

 おい、女神ってもっとこう厳かなもんを想像していたけど全然違うんですけど。本当に女神かよお前。


「んもー、疑ってんなぁー? 私が女神アルケミスって知らないなー?」

「……アルケミスって誰だ?」

「あ! 君異世界いっても宗教にかかわんなかったタイプ!? 異世界いったら関わるでしょふつー! その世界の宗教とか知っておくべきじゃーん!」

「無神論者ですから……。っていうか異世界から来たこと知ってるんですね」

「そりゃ送り込んだ張本人だからねっ! 魔王が誕生したから古の契約に基づいて適正のある子を地球からかっさら……連れてきたんだけど」

「今掻っ攫ってきたって言おうとしましたね」


 女神って傍若無人すぎる。


「まさか帝国が直に連れて来るとはねえ。おかげで地球の女神から怒られたよ。帝国にはこれ以上やらせないように契約解除したけどね」

「……さいで」

「あ、おまんじゅうあるよ。食べる?」

「いただきます」


 俺は女神さまからまんじゅうを受け取る。

 なんでアロハ姿なのにまんじゅうを土産として持ってきてるんだろう。いや、まぁそれはいいとして。


「で、俺は死んだんですよね? この後どうなるんすか?」

「あれ、精霊から聞いてない? 君精霊になるんだよ」

「えっ?」

「君地球人とは思えないほど地球にいた時から魔力膨大にあったからさー。チートスキルなしで送り込んでやったのになんでそんなにあるんだよ」

「え、俺チートスキルなかったの!?」


 これ自前なんですか!?

 異世界に連れていかれたからその代償として思っていたんだけど……。


「で、君も勇者にはなれたんだけど……。幼馴染の子のほうが強かったから聖女の役割にしたんだよねぇ。男の子を女の子にした時の反応もみて見たかったから女の子にしました! 聖女なんでネッ!」

「このクソ女神」

「言葉には気を付けろ。私の拳が黙ってないぜ……?」

「そんな陰キャオタクみたいなマネしなくていいでしょ……」

「君ツッコミ役としてもなかなかいいね! 私とM-1目指してみる?」

「なんで異世界の女神なのに俺たち地球の番組とかに詳しいんです?」

「ここでみれるもん」


 何でみれるんだよ。

 女神はテレビを顕現させテレビを付けた。地球で放映されているであろうニュースが流れていく。それはもちろん日本のものだけじゃなくてアメリカや中国、ヨーロッパのテレビ局の映像も流れる全世界対応版のテレビだった。


「女神業って意外と暇なんだよ。んで、話を戻して本題。君は精霊になるんだけど……精霊として強い力を得る代わりに制限があります」

「制限?」

「うん。精霊は物に宿るんだよね。宿り木からは10mちょっとしか離れられなくなるの」

「ほーん?」

「それだけ。あとは本来なら普通の人からは見えなくなるんだけど……。これはどうでもいいね?」

「よくないけど」

「話を聞いてよ。見えるようにする」

「見えるように? そういうことしていいの? 神は人間に対しては平等に接するもんだと思ってたけど……」

「足し算引き算だよ。精霊として何かを引き算する代わりに見えるようにしてあげるってこと」


 女神はにっこりと笑う。


「女神だからわかるんだよ。精霊となったらへきるちゃんのところにいくでしょ? でもへきるちゃんは人間で、精霊とはわけが違って寿命がある。百年後にはいないかもしれない」

「……」

「いまさら精霊にならず転生とかは無理。だから引き算。精霊として自我が残るのはへきるちゃんが死ぬ時まで。へきるちゃんが死んだら君の自我も消えてへきるちゃんと仲良くあの世にいくことにする。もちろん精霊の体は残って役割を果たしてもらうけど」

「へきると一緒に死ぬか……」


 そのことは願ったり叶ったりだ。

 俺は精霊として永久を生きるつもりはない。へきるがいない世界なんて嫌だったから。


「わかった……。けどそんな俺にとって好都合な条件でいいのか?」

「私はね……ラブコメはハッピーエンドが好きなんです。死別エンドなんて認めません」

「……それだけ?」

「神ってのは単純な感情ですら世界をどうとでもできちゃうんですよ」

「傍若無人すぎる」

「だって神様ですもん。本来人の世の理とか一切関係ない上位概念的存在だからね。私は人間の営みとかセッ……とかオナとか見るの大好きですし」

「営みってそっちの?」

「エロ最高!」


 鼻血を垂れ流し、女神さまは親指を立てる。

 ふざけた女神だけど……俺にとっては好都合なことをしてくれてるので文句はもう言えない。


「よし、じゃ、精霊になってらっしゃーい。ただ最初はだれにも見えるわけじゃないから、誰か見える人を探してね。そしたら見えるようになるよ」












フランクな女神様って素敵ですよね

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― 新着の感想 ―
[気になる点] これ「へきるが日和を殺した」って事実は残るから、日和が精霊として戻って来ても対等ではいられない気がする。 死なない事をわかった上で首を切ったのとは訳が違う。 へきるは自分が日和を人間と…
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