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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
魔王領訪問編
95/103

どうか悪夢でありますように ③

 俺はへきるのところへと向かう。

 へきるは伊地知に指示を受け、村の人を殺しまわっている。逃げ惑う村人に容赦なく追いつき、剣を振るって斬り殺していた。

 俺は切られた村人に回復魔法をかける。


「……巻島」

「へきるに苗字呼びされるの何気に初めてだな」


 無機質な声で俺の名前を呼ぶへきる。

 俺はこの後どうしようかと悩んでいた。後ろには小野瀬がクラスメイトと戦っている。あっちからしてみれば小野瀬はこちらを裏切ったのだから当たり前っちゃ当たり前に恨まれている。

 予想外だったのはアギト。


 学園長の魔力防御をもらい、前線に出てきた。


「おい! へきるとやら! 好き勝手してくれてんじゃねえか」

「……誰だよお前」


 と、へきるは思い切りアギトを蹴り飛ばす。

 アギトは口から血を吐き、鎧が砕けたのだった。予想外だったのは学園長の防御があってもそれを上回るくらいものすごい威力の蹴り。

 洗脳前のへきるはこういう力なかった気がするが……。もしかして、洗脳されてることで無意識にかかってたトリガーがなくなってんの……?


「伊地知様からの命令でお前はじっくり殺せってことだった」

「へ、へぇ……」

「でも厄介なのがいるね」


 と、へきるはイルムのほうを向く。

 イルムのスキルが何かわかってんのか……? イルムは「おええ!?」と叫び身構える。そして、一瞬で距離を詰めイルムの胸に正拳突き。

 

「いたあぁあああああ!」

「ちっ、殺せなかった……。巻島ぁ」

「あっぶねぇ……」


 俺の全魔力でイルムを庇った。

 だがそれでもなお強い威力で、イルムは吹っ飛ばされて気絶している。へきるは深追いする様子がなく、俺のほうにゆっくり視線を送ってきた。

 

「しゃあねぇ……死ぬか」


 怖いな。

 死にたくない。けど、もうこの状況で助かる見込みはない。早いうちにケリを付けようとあまり作戦を立ててこなかった。

 へきるは日々進化するから、あまり進化させすぎたくなくて、あまり経験を積ませたくなくて早めに来たのだが。

 やっぱ全力へきるは無理だ……。


「でもタダでは死んでやらねえぞ」


 へきるは俺に近づき、首根っこをつかむ。

 息が苦しい。力が強く、振りほどくことは無理だった。


 へきるは弱い力で俺を殴る。

 弱い力といえど、俺にダメージを与えるのは十分な威力。魔力で防げない今、純粋なダメージを受けてしまう。

 何度も殴られ、気絶しそうな痛みが俺を襲う。


 俺の体がボロボロになり、意識も朦朧としてきた。

 俺はへきるの顔を見てほほ笑む。


「じゃあね、へきる。好きだった」


 最後の拳が降りかかると同時に、俺はへきるにとっての呪いの言葉を吐いた。










このまま終わったらバッドエンド

まだ続きます少しくらい

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