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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
魔王領訪問編
92/103

脱獄

 寝て起きると城内はあわただしくなっていた。

 外に出ると四天王の人たちがこぞってどこかに向かっている。


「どうしたんですか?」

「先日捕らえた帝国の勇者が脱獄しまして! 魔王軍総出で対応しているのですよ!}


 とのことだった。

 あいつら逃げようとしてるのか。さすがにそれは放っておけない。俺はへきるのほうを向く。へきるもさすがにほうっておいちゃだめだというのは理解しているのか、うんと頷き剣を手に取った。


 そして、俺たちが行こうとした矢先、俺らの目の前に4人の脱獄クラスメイトが立ち塞がった。


「伊地知……」

「テメエ、巻島だろ」

「……」


 なんか知らんけどばれてるし。

 きっと相手側にそういうことを見破るやつがいるんだろう。だがどうやって判断したんだろ。男の時と風貌がまるで違うから日和だと思ってもあり得ないと思いそうなのに。

 

「だから何?」

「まさかテメエが女の子になってるなんて思ってなかったぜ」

「そんな話をするために脱獄したわけじゃないだろ」


 わざわざ一度負けているへきるのところに来るなんてどういうつもりだ?

 リベンジマッチ……なわけがないよな。伊地知はそういうリベンジやかたき討ちにはこだわらないタイプだろうから。

 だとすると……俺かへきるのどっちかに用があるという感じだろうか。


「矢原!」

「あいさ」


 すると、矢原がこちらをにらんでくる。

 俺は嫌な予感がして魔力で防いだ。が、へきるはなぜか知らないけど動けなくなっていた。


「う、動けないよひよくん!」

「らしくもなくリベンジマッチに来たってことかよ! 俺の想像とは違った!」

「リベンジなんてそんなもんのために来てねえよ」


 俺は魔法を放つ。

 今の俺はもう人を殺せる。たとえ元クラスメイトでも許したりするもんかよ。へきるに危害が加えられてんだ。


「なんつー力の強さ……! 伊地知急げよ! 力量差がありすぎてそろそろ解かれる!」

「その前に佐々木! 魔法を何とかしろ!」

「しょうがないですね」


 と、佐々木が俺の放った魔法の前に立ち塞がり、魔法の軌道を手で逸らす。

 

「あん!? 素手で触れた……? それがお前のチートスキルかよ」

「正確には魔法が当たらなくなるスキルですからね。絶対魔法は当たりません」

「相性さいっあく……!」


 佐々木が壁として立ち塞がってる限り俺はこいつらに魔法を当てられない。

 そして、高島が勢いよく飛び出してきたかと思うと、へきるの頭にヘッドバットを食らわせていた。


「何が狙いだよくそったれ!」

「うわ、あぶねえ!」


 俺は魔法を高島めがけて放つがぎりぎりで躱された。

 矢原のスキルも解かれ、へきるはぼーっとした目をして自由に体が動くか確認していた。


「へきる、どうした……?」

「おい、志島。帰るぞ」


 と、ニヤニヤして伊地知がそういった。


「何言ってんだ? おいへきる」

「志島、そいつ黙らせろ」


 伊地知がそう命令すると、へきるがこっちを向いた。

 嫌な予感がして、全魔力で体を覆う。その瞬間、へきるの音速を越えるようなパンチが俺の腹部にぶち当たったのだった。

 俺はそのまま吹っ飛ばされていき、魔王城の壁を突き破っていく。


「いってぇ! 全魔力で防御を最大にしてもここまでいてえのかよ!」


 へきるの様子がおかしい……。へきるは俺にここまで強い力で殴ってきたことはない……。

 へきるが敵になった……?


「くそっ! どうなってんだよ!」


 小野瀬なら何か知ってないだろうか。

 俺はそんなことを考えながら、そのまま地面に落ちていく。背中を強く打ち付けて、俺はそのまま意識を失いかけた。

 すると、へきるがまたやってくる。

 へきるの目には光などなく、ただただ闇が渦巻いているように見えた。


「とどめを刺してやれよ」

「……」

「ははっ……」


 死ぬ。

 魔力はもうない。俺はあまりの恐怖に思わず目をつむる。


「させるかぁあああああ!」

「……ッ!」


 小野瀬が勢いよくやってきて俺を抱えたのだった。


「いったん退却! 事情はあとで話すから全力で逃げるよ!」

「おの……せ……」

「小野瀬! テメェ……!」

「へきちーに日和くんを殺させたりしないもんね! バーカ。私はもうとっくにお前らにつくことはないんだっての! あっかんべー」


 小野瀬は俺を抱えて全速力で逃げていく。

 一体、どうなってんだろうか。へきる……。










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