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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
魔王領訪問編
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今の立ち位置

 帝国ぶっつぶそーという提案。間違ってはいない。

 戦争を終わらせる一番手っ取り早い方法は帝国を潰すことなんだが……。一国を潰すのは手間というか、そんなことができるのか?

 というかそれ現に戦争しようと言ってるようなもんじゃねえか。


「実は帝国の帝王様はロリが好きだから日和くんがハニートラップ仕掛けたらいける!」

「嫌だよ! なんで俺が男と寝なくちゃいけないんだっての! 女の子ならともかく……。俺は健全な男子高校生ぞ!?」

「今女の子だよひよくん」


 だとしても何が悲しくて男に誘われて男と寝なくちゃならないんだよ。

 っていうか男って断定したけど否定しない辺りマジで男じゃねえか。マジで嫌だよ。想像しただけで気持ち悪い……。帝王×俺っていうのは普通に誰もが否定したくなるカップリングだろ……。


「でもぉ、それが手っ取り早いんだよぉ?」

「……俺はグラマラスなボディのほうがよかったよ! なんでこんなロリ体形」

「ひよくんはロリになると思ってたよ。案外子供っぽいし」

「へきるにだけはそれ言われたくねえんだけど」

「でも日和くんは男子の中でも身長は低かったし声もちょっと中性的な感じだったよね」

「さすがに女性と間違えられたことはないけどねぇ」

「うるせえ。まだ成長期だったんだよ俺は! 俺の話はいいだろ……」


 チビで悪うござんしたな。

 

「でも嫌かー。ならどーするかな。魔王様に寝返ったって言っても魔王様は信用しないだろうしなー。かといってほかの国に行くのもなー。それはそれで不自由になるしなー」

「少しくらいの不自由は許容しろよ。わがまま言うな」

「勝手にこっちの世界連れてこられてるくせに我儘言うなってのはなんかおかしくない?」

「それはまぁ……」


 もともとこっちの世界のエゴのようなもので連れてこられたようなもので、半強制的というかなんというか。

 俺らももともと普通に日本で暮らして生涯を終えるつもりではあったのだ。こっちに無理やり連れてこられたからこっちに骨を埋める覚悟はしたけど。


「うちのママだってきっと私を探してるよ。行方不明扱いになってるし、戻るすべがわかんないんだから……。私たちだって家族いるのに急に引きはがされて二度と戻れませんって言われたら普通に怒るよ。こういう我儘で済むなら安いものでしょ。現に二人の家族は行方不明届まで出してるし、今でも必死に呼びかけて探してるんだよ」

「……そっかぁ」

「……」


 考えないようにしていた家族のことは。

 こういう風になっているのは予想がついたから……。俺の両親やへきるの両親は毒親というわけではなく、むしろ優しくていい親だった。ダメなことはダメだと叱ってくれているし、お願いも聞いてくれていた。家族仲はいいほうだ。

 それを突然終わらせたわけなんだから、俺の母さんたちの気持ちはなんとなくわかってしまう。


「でもこれはあくまで私のわがままだから他の人にこういう理由だから突き通させて!といっても知らねえよで済ませられるでしょ? だから自分だけでどうにか不自由にならない方法にしたいんだよ」

「なかちーちゃんとしてる」

「オルフェリート王国はそういうのわかってて介抱してくれてたな……」


 あの国王様優しすぎやしないか。

 そういう理由ならたしかに不自由じゃない方法を探すのもありかも。まぁ、一番マシな選択をするのは個人の自由だ。


「私はどう身を置いていくかなー……。帝国がこんなんじゃなけりゃ冒険者なりなんなりして毎日楽しく生きてたんだけどこんなんだしなぁ」


 小野瀬は歩きながら自分の身の置き方を考えていた。

 今更あっちには戻れない小野瀬の今の立ち位置は非常に微妙なものだった。小野瀬は賢いからすぐに理解している。自分の立ち位置を。

 そこからどう動いていくかによって、命運はきっと変わってくる。


「ま、とりあえず……魔王様と話すしかないかな。オルフェリート王国もどの国も今の私を置いてくれそうにはないし、置いてもらえる見込みがあるのは魔王領かな。いろいろ厄介ごとが終わったら違う国で過ごそうかな」

「逞しいねぇ」

「嫌でも逞しくなるよ。こんな人の命が軽い世界じゃ」


 それはたしかに。










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