魔王への苦言
魔王のもとへ俺たちは向かっていく。
魔王は部屋にいるらしく、扉を開けると魔王がお菓子を食べていた。
「おぉ、ヒヨリ! よく来たナ!」
「魔王様……」
「ささ、座るがヨイ! 勇者殿モ!」
と椅子に座らされ、お茶会を始める雰囲気になっていた。
ネクロムさんが心配そうに見ている。
「あの、魔王様。魔王様はこの魔王領のことどう見ておりますか?」
「え? んー、どう見てるって言われてモナ……」
「きちんとやってますよね?」
「……えっ!?」
やってないのは自覚があるのか少しどぎまぎしている。
へきるも何か見定めるような目で魔王を見てるしこの場に変な挙動を取るやつしかいねえ。俺は魔王を見ると、魔王はしどろもどろになっているまま、お茶を飲んでいた。
「……きちんとやってないでぃす」
「ですよね」
「…………」
「魔王様……。俺は部外者だという自覚はあるのであまりとやかくは言えませんが、俺はきちんと自分のやるべきことをやってる人のほうが好きです」
「……ハイ」
「今日もネクロムさんが魔族に喧嘩を吹っ掛けられて殺しておりました。この現状を何とかしないとずっと戦いが続くと思います」
「ソウデスネ……。頑張りマス……」
魔王は縮こまってしまった。
言うことは言った。俺はもう魔王にとやかく言うことはない。俺も紅茶を飲み、お茶菓子を頬張る。紅茶の香りはとても強く、芳醇な香りが鼻を突き抜けた。
美味いなこの紅茶。
「……魔王様!」
「勇者殿……。私に追い打ちカイ……?」
「負けませんから!」
「……?」
何を言ってるんだお前。
へきるはそう宣言して満足なのか、むふーっと笑みを浮かべて紅茶を飲みお茶菓子を食べ始めた。いきなり何の宣言してんだよお前は。負けないって勝負挑むつもりなの?
相変わらずへきるは何考えてるかわからない時がある。昔からそうだったな。突然突拍子もないことを言い出したりするんだ。そこがへきるの魅力でもあるんだが……。
昔のことを思い出す。小さい頃は一緒に風呂とか入ってたっけな。今思い出すとちょっと恥ずかしい。
「ひよくん? 顔赤いけどどうしたの?」
「なんでもねえよ」
昔の思い出を思い出すと恥ずかしい。俺は恥ずかしさを紛らわすべくお茶菓子をぱくぱく食べていると、突然俺の視界がぐらっと揺らぐ。
なんだこれ。
すごく……眠い。俺はなんだか知らないが、突如襲ってきた眠気には勝てずそのまま突っ伏してしまう。
毒……いや、毒ならもっと苦しいはずだ……。
「ひよくん!?」
「ドウシタ!?」
心地いい眠気だった。俺はその眠気に逆らえず、そのまま意識を少し投げ出したのだった。




