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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
オルファラン同盟学校編
46/103

へきるとの喧嘩 ①

 翌日、へきるは部屋の前で土下座して待っていた。が、それを無視して食堂に向かう。

 朝食を取り、学校に行く支度を済ませて先に教室へと向かったのだった。俺は何も勝ちたかったわけじゃない。別にあの時の勝敗はどうでもよかった。

 気に食わねえのはドンマイと俺の気持ちも踏まえずに能天気に言い放ったこと。諦めればよかった。俺らの警戒が足りなかったで済ませりゃよかったのに、勝ちにこだわり俺にあんな辱めを受けさせて謝りもせずに能天気にドンマイといったこと。


「はーっはっは! フィールドを駆け巡ったことはあるよ! だがしかし、勇者じゃなく、聖女様が2位とは驚いた。見かけによらず戦闘は得意だったようだね」

「まぁ、それなりには戦えるよ。1位おめっとさん」

「ありがとう。これからもお互い研鑽しよう」


 勝者のリヒターと話し、授業が始まった。

 魔法学の授業で、俺は基礎的な魔力操作はすでにシャルさんから教わっている。先生が教えるのは今はまだ初歩的なことなので俺はすでに予習済みだった。


「あ、あの~ひよくん……。私魔力操作が苦手でして……」

「ふーん」

「あ、あの……教えてほしいなって……」

「…………」

「ご、ごめんなさい……」

「…………」


 俺はへきるから離れて、少し苦戦している様子のリエリーさんのところに向かう。リエリーさんは案の定魔力操作が苦手らしく、俺の魔力と合わせながら魔力操作を教えることにした。

 

「あまり強くイメージする必要はないよ。強くイメージしちゃうとその分偏っちゃうから」

「そ、そうなんだ! こういう感じかなぁ?」

「もうちょっと自然体に……体の力抜いてさ」

「こう?」

「できてるできてる!」


 やっぱ小さいころから魔力には触れているだけあって要領をつかめばすぐ理解できるのかな。俺たち地球人は魔力は関わりのないものだったからあまりイメージしづらいのかも。

 

「手のひらに集中させて、次は首……そうそう」

「わかりやすーい! ありがとー!」

「いえいえ。どういたしまして」

「なんとなくコツつかめたから後は一人で何とかなるかも!」

「わかった。またわからないところあったら教えてあげるよ」

「助かるぅー!」


 リエリーさんはまた集中し始めた。

 俺も手持ち無沙汰になったので魔力を集中させ、ちょっと魔力で遊んでみる。ゆくゆくは魔力探知とか習うのかな。

 魔力とは切っても切れない関係だし、こういう戦闘に役立つことはここで学ぶんだろう。

 魔法学の第一歩は自分の魔力を知ること。全員が魔力操作がうまくならないと次の段階に進めない。


「おい」

「ん? なに?」

「お前、勇者様に教えなくていいのかよ。お前の友達だろ」

「一人で何とかするでしょ。今までもそうだったから」

「薄情だな」

「なんとでもいえー」


 アギトが勇者を心配しているようだった。

 

「……お前ら喧嘩してんの?」

「してるよ?」

「……ふーん」

「なんか問題が?」

「ねぇけど……。仲よさそうに見えたお前らでも喧嘩するんだな」

「そりゃ時にはウマが合わないときだってありますよ」

「ウマ……?」

「この慣用句はこの世界にはないのね」


 馬が合うは通じないようだ。

 それにしてもアギトはこういう喧嘩とかどうでもよさそうに見えるけど結構気にするタチなのか? よく人を見ているしな。実際、俺とへきるは仲がいいのは間違ってない。それですぐに喧嘩したと結論出せるのはよく見てるな。


「まぁどうでもいいけどよ……。あまりギスギスすんなよ。雰囲気悪くなる」

「それ人のこと言えるの?」

「どういう意味だよ」

「いや、あんたも弱そうとか吹っ掛けてきたじゃん。雰囲気悪くしてる発言じゃないの?」

「……そうなの、か?」

「えっ、自覚なし!?」


 あれで自覚なしなの!?


「煽り合いと殴り合いはコミュニケーションだろ」

「どこのヤンキー漫画だよ。そういうのはディスコミュニケーションっつーんだよ」

「そうなのか……」


 どこからその知識を……。いや、あの熱血エルゴさんなら『男なら殴り合って分かち合っていくものだ!』っていう言葉はぎりぎり言いそう。それを真に受けた感じかこいつ。


「ま、いずれ仲直りはするよ。むしろ私のほうが落ち着くために距離取ってんの。頭冷やすために」

「そうか。わかった」

「ご心配ありがとさん」


 早いとこクールダウンさせないとな。












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