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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
オルファラン同盟学校編
37/103

学園長

 翌日。

 俺が長旅の疲れもありぐーすか眠りこけていると、大きな音で起こされたのだった。

 俺はその音で驚き飛び起きてベッドから落ちる。


「んだよ……。へきる……。そんな大声で呼ばなくてもいいだろ……」

「ひよくんおはよーーー!! いい朝だね!」

「こっちはあまりよろしくねえよ……」


 俺は欠伸を一つ。

 へきるの手にはなにやらスカートとブレザーのようなものが。


「これ! カタリナ様から貰った! ひよくんの制服!」

「制服?」

「そ!」


 俺に制服と呼ばれるものが手渡される。

 その場でへきるに着せられ、俺は鏡の前に立たされた。


「かわいー!」

「よりにもよってスカートかよ……!」


 足元が落ち着かない。

 スースーするっていうか、何も履いてない感じがする。生足ハイソックスなんていう癖の塊みたいなこの制服……。

 なんつーか、女子ってこんな感じで歩いてたのか……。


「はいドーン!」

「な、何してんだよお前!」

「スカートめくり。ひよくんの生パンツいいね!」

「よくないわ!」


 へきるは俺のスカートを捲りパンツを見ていた。

 くそ、落ち着かん……。何でよりにもよってミニスカートなんだよ。スカートはスカートでも膝下くらいまであるスカートだってあるのに何でこれは膝上までしかないんだ……?


 こんなんで防御出来ると思ってんのすげえよ……。


「なんか、本当に履いてない感じがしてすげー落ち着かない……」

「慣れだよ慣れ!」


 俺とへきるが話していると部屋をノックする音が聞こえた。


「ヒヨリ様、へきる様。入ってもよろしいでしょうか?」

「いいですよー!」


 へきるが許可を出し、カタリナ様が中に入ってくる。


「学園長に挨拶を……どうなさったのです?」

「い、いや……」

「スカート恥ずかしいんだって!」

「あぁ……。そういえば元殿方でしたものね。慣れてください」

「そんな殺生な」


 今は多様性の時代だから俺だけズボンってことは出来ませんか。異世界に多様性を持ち込むなって話ですが。

 俺はスカートを押さえながらカタリナ様についていく。


 明日から夏の休暇も終わり、授業が始まるのだという。

 学園長に挨拶し、少しの手続きをした後にまずは先生方への顔見せということになるようだった。

 

「学園長ってどんな人?」

「気さくな方ですわ。あまり堅苦しく対応すると拗ねますの。良い意味で幼稚な方ですわ」

「そーなんだ!」


 学園長の部屋の前につき、カタリナ様がノックを3回。

 中からはくぐもった声でどうぞ……という声がした。失礼しますとカタリナ様が扉を開ける。

 中には銀髪のほうれい線が少し出た綺麗なお姉さんがいた。うわぁ、結構良い歳の取り方してるじゃん。


「学園長、我が国の勇者様と聖女様をお連れいたしましたわ」

「ご案内ありがとう、カタリナ、クン」

「……学園長? どうかなさったので?」

「なんでもない。なんでもないよ」


 椅子に座ったまま不動の学園長。

 聞いてた印象とちょっと違う。ものすごく真面目そうな学園長だ。良い意味で幼稚……とは聞いていたけれど幼稚のかけらもない。


「とりあえず、席に、つきたま、え」

「なぜそんなカタコトなのですか学園長」

「きにしないでくれ」


 なんか気になるが俺はソファに座る。

 その時だった。ごぎゅるる……とめちゃくちゃ大きな音が聞こえた。それは学園長からだった。


「……学園長?」

「すまない。トイレに……はぅあっ!」


 学園長が椅子から崩れ落ちる。

 へきるが駆け寄り、学園長を抱き起こす。


「ひよくん! なんか病気かも! 回復魔法で治してあげて!」

「わかった」


 回復魔法をかけるが……。

 回復魔法をかけてみたが、苦しそうな表情が取れない。病気なら回復するはずなのに……?

 

「……トイレ、連れてけ」

「わ、わかりました!」

「あまり揺さぶるな……よ……」


 へきるが抱えてトイレに連れて行っていた。

 そして数分後、笑顔の学園長が扉を開けて入ってくる。


「いやー、すまんねー! 今朝食べたものが腐ってたみたいでお腹壊しててさー、快便だったよ!」

「人騒がせな……」

「で、君たちが勇者様と聖女様! ふむふむ、勇者様はともかく、聖女様に関しては魔法結構使えるね? 私と同等ぐらいには……」

「えっ、そうなんですの? 学園長がそういうなんて結構……」

「魔力量に関しては私より飛び抜けてある。魔法を学ぶ意義はあまりなさそうだね聖女様は」

「そうなんですか?」

「技術もあるね。君たちがこの世界に来たのは二月ほど前だと聞いていたが、二月で身につくような魔力精度じゃない。地球と呼ばれる世界には魔力は本当になかったのかな」


 学園長が俺を見てニヤニヤ笑っていた。


「学園長で何者……?」

「私? 私は賢者とまで呼ばれた大魔法使いだよ。私に並ぶ魔法使いはほぼほぼいないくらいのね」

「そんな学園長と同等って……」

「ひよくんチートすぎる……」

「魔法の才能に関しては誰よりもあるというか、天性の才能で並んでる。もっと磨けばかつて存在していたと呼ばれる神の魔法使いになれるかもしれないね」


 そこまで太鼓判押すほどですか?

 神の魔法使いってなんだ。いろいろ気になる単語が出てきているから後で調べておこう……。

 

「なるほど。二人とも、歓迎するよ。我が学校は来るもの拒まず、去るもの追わずさ。有意義な学校生活を楽しんでくれたまえ」

「うっす……」

「さ、あとは先生たちへの顔見せだろう。行っておいで」

「わかりました。失礼します」

「失礼しゃーーす!」

「ふふ、また気軽に遊びに来ると良いよ」


 学園長室から出る。

 俺はちょっとした疑問を口にした。


「ここ、学校ですよね? なんで学園長なんですか?」

「学園長の方が名前の響きがいいからだそうですわ」

「それだけ?」

「それだけです」


 えぇ……。校長じゃ嫌だったのかよ。












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