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俺が聖女で勇者が幼馴染で  作者: 鳩胸 ぽっぽ
オルフェリート王国召喚編
31/103

チートフィジカル

 へきるは地面を強く蹴ると、瞬間移動したみたいに相手に瞬時に近づく。

 これは前に崩落事故の時にも見せた……。そして、馬鹿みたいな力と火事でも焼けないような馬鹿げた耐久力。

 へきるのチートスキルって……。


「へきるのチートスキルってまさか……圧倒的なフィジカル?」


 男はへきるの攻撃を受けるのにやっとなようだった。


「くそっ! 魔王という脅威がいなくなった今、人類は弱体化してると思ったのによォ……! なんだこの化け物は! 勇者なのか!?」

「私の友達をやったことはぜったいに許してやんない!」

「いや、ぎりぎり生きてるよ……。ってかお前……もしかして勇者か? 初代の」

「そうだよ! スキルも通さねえ魔法も通さねえスキルをもらってんのになんでこいつの攻撃は! スキルじゃねえってのかよ!」

「あー、多分そいつのチートスキルは……スキルってより圧倒的なフィジカルがこいつに与えられたもんだと思う」

「そうなの!?」

「なんでそれをこいつが理解してねえんだよ!」


 いや、だってみんな全属性魔法ーとかスキル、魔法無効ーとかそういうのじゃん。気づかねえって普通。こんな平和な異世界じゃ。


「地球でもこんなフィジカルだったし……」

「お前素で化け物かよ!」

「女の子に化け物ってひどい! 死ねぇ!」


 へきるの剣が初代勇者の首を貫いたのだった。

 首から血が噴出し、そのまま地面に倒れ伏せたのだった。俺は初代勇者に近づき、回復魔法をかけてあげた。

 回復魔法は通らないと思っていたが……さっき治した女が聖女だから回復魔法だけは通すような設定になってるようだった。


「それよりひよくん! 私のチートスキルよくわかったね!」

「いや、スキルってよりお前自身の才能が強化された感じだろ……」

「そういやそうか……。私も無効化スキルとかそういうのがよかったなー……」

「フィジカルにおいて最強だからいいじゃん」


 とりあえず二人を縄で拘束しておく。

 刑罰は俺らの仕事じゃない。俺はあまり人殺しはしたくない……っていうか、人は殺したくない。異世界に来たと言えどそういうのはちょっと……。

 

「とりあえずへきる、壬午たちを安全なところに運んで。俺は倒れてる人たちを治して回ってみるから……」

「わかった!」


 勇者祭本番だってのになんて日だよ。

 もうこの有様じゃ勇者祭だなんてことは言ってられないな。俺が練習した日が無駄になった気がする……。


「なんでこいつら生きてんだろうなぁ……」


 魔王が討伐されたのは500年くらい前の話だ。500年といえば人間の寿命はゆうに越すし、人間ならば絶対死んでるって言いきれるぐらいの年数。

 それなのにこいつらは俺らと同じ若く見える……。500年の歳月、いったいどこでどんな風に過ごしたらこんな若々しく生きて居られるんだ……? まさにファンタジーっていうか……起きたら話を聞いてみよう。


「とりあえずめっちゃ町壊されたな……」


 被害状況は甚大だった。

 俺らが殺さなくても、罪で言えば死刑は免れないだろう。生かす理由はないが……。


「……人殺しできないってどうなんだろ」


 へきるは少しぶっ壊れてるから人を殺すのにそこまでためらいはない。

 だけど俺は……人を殺すのに戸惑いが残る。そもそも養豚場とかのブタが肉にされるために殺される映像すら見るのはちょっと苦手なんだ。

 そんな俺が人を殺せるようになるなんてそんなことはない……。


「吐きそう」


 人の死体のにおいと目の前の光景に吐き気を催しながら、俺は生きてる人を探して回るのだった。












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